「中小企業等円滑化法の出口戦略を語る」集会
~中小企業の元気を取り戻す~
椎名麻紗枝法律事務所気付
『銀行の貸し手責任を問う会』
事務局長 椎名麻紗枝
〒100-0014
東京都千代田区永田町2-17-10-404・501
TEL 03-3581-3912
FAX 03-3593-0394
この度、2015年6月22日(月)6時半より8時半まで、御茶ノ水の、駿河台記念館に於いて、
元金融担当大臣亀井静香先生、元総務大臣原口一博先生をお迎えして「中小企業等円滑化法の出口戦略を語る」と題した集会を開催いたしました。
昨年、当会で行いました集会「銀行の過剰債務を身の丈に合った借金に軽減し、日本の中小企業・個人を元気に!」の第二弾の企画です。
経済産業省や金融庁は、金融円滑化法失効後の出口戦略を発表していますが、いずれも、経営危機にある中小企業を助けるものではあ
りません。
むしろ、見込みのない企業はつぶし、利益の見込める企業だけ、民間投資家など買い取らせて企業再生をはかろうとするものです。
そこで、中小企業等金融円滑化法の生みの親でもある亀井静香元金融担当大臣に、中小企業・個人が、元気になる「出口戦略」を、
また、原口議員には、中小企業が、懸命の努力をしているのに、その見えないトンネルから、何故抜け出せないのか、その背景と改善案について語っていただきました。
デモクラTV代表であり、経済ジャーナリストである、山田厚史氏がコーディネーターをつとめてくださいました。
亀井議員は、その著書「安倍晋三よ、国滅ぼしたもうことなかれ」の中で書かれておられるように、
「外来資本主義」に日本の優良な企業がのみこまれかねない状況にあることを、大変危惧しております。
また、亀井議員は、現在の日本の閉塞した政治経済状況に風穴をあけるため、「根っこの会」を組織して活動しておられます。
集会では、中小企業経営者の方にも現状報告をしていただき、集会に参加された方からは、両議員のお話をうかがって、
「勇気や元気をもらった」「普段聞けない貴重なお話を伺えて良かった」との声が寄せられました。
《 御挨拶 》
『銀行の貸し手責任を問う会』
事務局長 弁護士 椎名麻紗枝
本日は、銀行の貸し手責任を問う会主催の集会にお集まりいただきましてありがとうございます。
昨年10月に、「銀行の過剰債務を身の丈にあった借金に軽減し、日本の中小企業、個人を元気に」を開催し、経済学者の植草一秀先生には、私たちの「銀行の過剰債務の軽減を身の丈の借金に軽減する」が正当で合理的な要求であることを、理論的にも裏付けるお話をしていただきました。
本日の会は、私たち国民の要求を具体的に政治に実現する道筋を亀井静香先生(元金融担当大臣)と原口一博先生(元総務大臣)に語っていただくというものです。
亀井静香先生は、金融担当大臣に就任された際、「債務者の視点に立った金融行政を」という、これまでの金融行政の転換を指導された方として、私たちの記憶に鮮明に残っています。そして、なによりも、中小企業等金融円滑化法の生みの親でもあります。また、原口一博先生は、総務大臣として、地域主権の改革と地域経済の活性化を提唱され、奮闘された方です。
そして、今、亀井先生が代表、原口先生が代表代行の「地域活性化協議会」(通称「根っこの会」)は、政治の流れを大きく変えると全国の大きな注目と期待を集めております。まさに、現実の政治を動かす大きな力をもっておられるお二人は、「中小企業・個人の元気を取り戻すために、その方策」を語っていただくのに、最適な方です。
亀井先生も、原口先生も、国会での公務に加え、「根っこの会」の活動に超多忙でおられる中、本日の銀行の貸し手責任を問う会の主催の集会においでいただきましたことに深く感謝申し上げます。
なお、集会のコーデイネーターは、デモクラTV代表であり、経済ジャーナリストの山田厚史氏です。亀井先生と原口先生のお話の前に、経営者の方お二人から、円滑化法後の金融機関の対応の実態や地域の金融機関による企業再生の実態について、ご報告をいただくことになっております。
開会に先立ち、今回、私たちが、この集会を企画した趣旨と目的についてご説明したいと思います。
私たち「銀行の貸し手責任を問う会」は、1996年に会発足以来、バブル期の銀行による押しつけ提案融資の被害者の救済と銀行融資についての法的規制を求める活動に取り組んできました。
会は、血の涙が流れる不良債権回収の現場に立ち会っている経験から、金融被害者を生み出さないために、当面、8の課題(パンフレット 頁参照)が実現することが不可欠であると考え、行政や国会に働きかけてきました。
2009年に、亀井静香先生が金融担当大臣に就任され、中小企業等金融円滑化法の施行や、第三者連帯保証の原則禁止など金融債務者の負担を軽減するための措置も検討されるなど、私たちも、ようやく金融行政も転換されるかと期待しておりました。しかし、その後の政治的逆風で、その流れは、逆戻りしてしまいました。1昨年3月末で円滑化法が終了したのを機に、政府は、淘汰される企業と存続する企業に選別する方向に舵を切りました。
金融機関としては、中小企業等金融円滑化法で、これまで返済を待ってやっていたのだというつもりでしょう。だから、金融機関は、円滑化法が昨年3月末で失効した以上は、できるだけ不良債権は早く、かつ多額に回収するための方策をとろうと必死です。 しかし、 金融機関は、 これまで国から公的資金の投入や課税の優遇措置を受けてきたのです。その経済的利益は、中小企業や個人の債務返済条件を変更してやったくらいで、棒引きできるものではないでしょう。サブプライムローンの問題が大問題になったアメリカでは、アメリカ連邦議会で、2008年6月に、それを救済するHousing and Economic Recovery Act of 2008(HOPE for Homeowner Act of 2008)を制定しています。同法は、サブプライムローンを政府がスポンサーのファニーメイやフレデイマックが時価で金融機関から買取、債務者には買い取った金額で新たにローンを設定するというものです。
日本の整理回収機構の仕組みと類似していますが、整理回収機構は、時価で買い取る点は同じでも、債務者に対する関係では、債務は軽減されず、また整理回収機構は、法的には銀行という位置づけをされているのに、貸出は一切行わず、もっぱら回収業務を行う点が大きな違いです。
私が2009年2月に、同法の適用例についてアメリカに調査に行きましたが、残念なことに、同法の適用例は皆無に等しい状態でした。 そこで、何故この法律の適用がないのか、サブプライムローン問題に取り組んでいる弁護士に尋ねましたところ、金融機関には、債権を時価で売却するメリットがないからだということでした。
私は、それを聞いて、そうであれば、金融機関も不良債権を抱えているメリットはないのだから、債権を売却したら金融機関にはご褒美を与えたら、金融機関も喜んで債権を売却するのではないかと考え、その思いつきをアメリカの弁護士に伝えたところ、「よい考えだね」 と賛同してくれました。
そして、私が帰国して数日後の2月20日に、私の思いつきと同じ内容の政策が、オバマ大統領から発表されました。
オバマ大統領は、750億ドル(約7兆円)を投入し、 これを金融機関への「報奨金」として、金融機関の不良債権の売却を促す、というものです。そのニュースは日本でも大きく報道されました。
私たちの会は、これを受けて、2009年の衆議院の総選挙にあたり、全国の立候補者にアンケート調査しました。アンケートに回答してくれた人の大半が、日本にも、2008年法のような立法は、必要だと回答しています。その後、民主党政権が誕生し、同法の導入を検討しようという原口先生をはじめとする国会議員によって、「中小企業等金融債務者保護推進議員連盟」が発足しました。しかし、その後、民主党政権は自民党政権にとってかわられ、立法化は頓挫してしまいました。
前回の集会で、植草一秀先生は、2008年6月アメリカのサブプライムローン債務者救済法は、1989年に、ラテンアメリカ諸国の対外債務危機解決として、当時のブレイデイ米国財務長官が打ち出したブレイデイ・プランをモデルにしたものであることを説明されました。また、日本の中小企業の過剰債務の問題は、政策の失敗によるものが大きいこと、したがって、過剰債務を軽減する債務者救済法は、経済合理性にもかなうものであるとの説明でした。
ところで、政府は、金融円滑化法の出口戦略を発表しています。そのひとつが、昨年5月に成立した「株式会社地域経済活性化支援機構法の一部改正」です。同法は、金融機関主導で、見込のない企業はつぶし、利益の見込める企業だけ、民間投資家などに買い取らせて、「企業再生」をはかろうとする動きを、さらに加速させるものです。
このまま行けば、亀井先生がご著書「晋三よ、国滅ぼしたもうことなかれ」で警告されているとおり、日本の企業は、外来資本主義にのっとられかねません。しかし、日本の経済を支えているのは、日本の企業の99、7パーセントを占める中小企業です。中小企業が、つぶされ、あるいはハゲタカファンドなどに乗っ取られて、どうして日本の経済が活性化するでしょうか。
本日は、中小企業・地域・個人が元気になるための道筋について、亀井静香先生と原口一博先生からうかがえるものと、大きな期待をしております。どうぞ、よろしくお願いいたします。
《会場内写真》
写真提供 宮原一雄氏 白井一氏