中小企業等の金融債務者保護推進議員連盟が発足されました

銀行の貸し手責任を問う会が切望しておりました中小企業等の金融債務者保護推進議員連盟が、

2019年12月4日(水)衆議院第一議員会館にて、50名程の国会議員の先生方ご参加のもと、設立されて正式に発足されました。

私達の念願としている金融債務者保護につながる法律や制度が改善されることを心より願います。

下記、議員連盟設立趣意書と、役員の先生方となります。

尚、当日、事務局長 椎名が、議員連盟で報告した内容を下記に記載いたします。


【中小企業等の金融債務者保護推進議員連盟設立への期待と提言】

                              弁護士 椎 名  麻 紗 枝

                                2019.12.04

このたび、多くの銀行被害者が念願しておりました中小企業等の金融債務者保護推進議員連盟が発足したことに対し、原口一博先生、近藤和也先生はじめ、会の発足を準備されました諸先生に、心から感謝申し上げます。

 私自身は、銀行、金融問題は、まったくの素人でした。その私が、銀行被害者の問題にかかわるきっかけとなりましたのは、バブル崩壊後、銀行から、高齢者が、自宅などの不動産に競売をかけられる事件が多発したからです。

それらのほとんどは、銀行から、バブル時に、相続税対策として、巨額な提案融資を持ちかけられた人たちでした。なかには、銀行が、融資をかちとるために、詐欺まがいのセールストークで、融資をした事件も少なくありませんでした。私は、借りた者の自己責任とは済まされないと考えました。しかし、1999年12月に上田清司先生はじめ44名の衆議院議員が、行った予備的調査で、最高裁は、銀行と債務者との裁判で、98パーセントは、銀行が勝訴していると回答しているとおり、残念ながら、これら銀行から騙された人々に対する司法的救済の道は閉ざされていると言ってよい状況にあります。

銀行から、自宅などの不動産に理不尽な競売を申し立てられても、債務者の側では、裁判所にこれを止めてもらうには、本裁判で勝訴の可能性があることの疎明と合わせ、不動産の競売基準価格の4分の3以上の保証金を供託しなければなりません。1億円の競売基準価格であれば、7000万円以上の供託が求められるのです。競売申立されている債務者が、そのようなお金を供託などできるわけがありません。

また、裁判になっても、立証責任は、債務者の側にあります。裁判は、当事者対等が原則とされますが、しかし、当事者対等であるためには、武器対等ではなければなりませんが、債務者と銀行とでは、とうてい武器対等ではありません。

しかも、債務者は、契約時には、銀行を信用して、融資を受けたのですから、一般的には、債務者には、銀行が騙したと立証する証拠はもっていないのが普通です。

債務者が勝訴するのは、不可能に近いと言って過言ではありません。

私は、多くの債務者の相談にのるなかで、債務者の救済が、司法的救済の埒外におかれているのは、裁判制度の問題だけではなく、銀行融資についての法的規制がないことも大きいと痛感いたしました。

1996年に発足いたしました「銀行の貸し手責任を問う会」は、これまで下記の7点について、制度改善や立法化の実現に向けて、政府、国会議員の方々に、要請活動を行ってきました。

中小企業等の金融債務者保護推進議員連盟には、ぜひとも、これらの立法化の実現にご尽力いただけますよう、切にお願いするものです。

                   

①銀行融資の法的規制

 日本には、銀行の融資については、ほとんど法的規制がありません。信じ難いことですが、「貸金業法」ですら、貸金業の最大手である銀行には適用されないのです。

 銀行法(業法)に顧客への虚偽の説明等を禁止する規定を設けているに過ぎません。

耐震偽装でも、問題になりましたが、銀行ローンに、割賦販売法の適用がないのは、大きな問題です。

私たちは、割賦販売法、金融商品取引法などの適用をはじめ、銀行融資に関して、法律による詳細な規制の強化を求めています。

 

②中小企業、個人の過剰債務の抜本的解消

 日本の企業の99%(雇用者数は66%)は中小企業であり、これまでの日本経済を支えてきました。しかし、これら中小企業や個人の多くが、現在、返せない過剰な債務に苦しんでいます。

 銀行は、そうした返せなくなった債務を、最終的には、これらを不良債権として二束三文で債権回収会社に売却しています。 しかし、債権回収会社は、回収の上限の規制がないため、苛酷な取立てを行って、莫大な利益をあげています。

 官製債権回収会社の整理回収機構のばあいは、無担保債権を1律1000円で6342件買い取り、なんと112億円もの巨額な利益をあげているのです。

 もともと過剰債務は潜在的不良債権なのですから、過剰債務を身の丈の債務に圧縮し、債務者の事業再生・生活再建をはかる方が、日本の経済にとっては、どれ程有益かわかりません。

 モラルハザードをいう人もいますが、バブル崩壊後、大銀行には総額12兆円を超える公的資金が投入され、さらには20年近く納税を免れるなど、銀行は信じられないほどの優遇措置を国から受けてきました。

 その一方で、立場の弱い個人や中小企業は、苛酷な取立てによって、事業破綻や自宅の競売などに追いやられるというのは、あまりに不公平ではないでしょうか?

 私たちは、2008年アメリカ連邦議会が制定したサブプライムローン債務者救済法をひとつのモデルとして、中小企業や個人の過剰債務を解消する仕組みをつくるべきだと考えています。これが実現されれば、多くの国民が銀行への借金返済に追われるのではなく、設備投資や消費にお金を回すようになり、経済的にもよい結果をもたらすでしょう。

 そして、何よりも多くの国民が平穏で幸せな生活をとりもどせると考えます。私たちは、「国民生活」を最優先にする立場で、過剰融資の抜本的な解決を求めています。

 

③民訴法228条4項(印鑑などによる文書成立の真正推定)の廃止

 銀行融資に限らず、消費者契約をめぐるトラブルでは、事業者が有利になっています。その大きな原因のひとつになっているのが民訴法228条4項です。

 民訴法228条4項は、本人の印鑑を押してさえあれば、すべての契約は意思によって作成されたと推定されるからです。

 しかし、銀行や事業者は、しばしば契約内容の詳細やリスクについて説明していません。にもかかわらず、後からこれを主張しても、印鑑があれば、何一つ認められません。

 悪徳商法の温床にもなっている(民訴法228条4項)は即刻廃止すべきです。

 

④連帯保証人に対する取り立ての規制

 金融庁も、平成23年3月以来、会社経営者以外の第三者保証を原則禁止とするガイドラインを発表し、民法の債権法も平成30年から、連帯保証制度が改正されることになりました。しかし、既に連帯保証人になっている人に対しては制度改善が行われないため、依然として、連帯保証人の給与、自宅の差押えなど厳しい取立てが行われています。

 言うまでもなく、連帯保証人は、借入れから何も対価を得ていません。にもかかわらず、連帯保証人は、債務すべてに責任を負わせられるのです。既存の連帯保証人に対しても、破産申立や給与・自宅の差押えは絶対に禁止すべきです。 

 

⑤片面的拘束性をもった仲裁機関の設立

 裁判は本来武器対等で闘うべきものです。しかし、銀行と貸し手との間では情報力、組織力、資金のあらゆる面で、銀行は優越的な立場にあり、裁判では借り手は、勝ち目は、まずありません。

 現在は、迅速な解決のための仲裁機関(ADR)がありますが、このADRは、債務者救済の役割は果たせていません。仲裁機関が和解案を出しても、銀行はそれに従う義務がないため、民事裁判では、100%自分の要求を通せると考えると、銀行は、和解には応じないのです。

 そこで、銀行と個人の力関係の巨大な格差があることを前提に、仲裁機関の和解案を、債務者には拒絶する権利を与える一方、銀行が拒絶できないようにするべきです。つまり、債務者が同意したばあいには、銀行等は、これを拒否できないのです。

 これがイギリスで実施されている、「片面(へんめん)的拘束性」をもった

 仲裁方式であり、私たちはこうした債務者の立場に立った仲裁機関を求めています。

 

⑥金融サービサー法の改正

 銀行の債務の取立てが、非常に理不尽に行われていることは、しばしば耳にされていると思います。

中でも、銀行が不良債権として安値で売却した債権について、これを買い取った債権回収会社等が、当初の債権の額面通りの履行を求めることです。

 例えば5000万円の債権を1000円で買って、仮に500万円を回収できたとしたら、元手の5000倍の利益を得たことになります。これほど暴利の商売が許されるのでしょうか?

 私たちは、債権が売買される際は、債務者に売却価格が開示されるよう、金融サービサー法の改正を求めています。 

 

⑦RCCの解散

 私たちは、バブル期の銀行の放漫経営が生んだ不良債権処理のために作られた、RCC(整理回収機構)の解散を要請しています。

 官製債権回収のRCCは、民事執行法・破産法などの制度の改悪をすすめてきました。その結果、金融機関・債権回収会社の行っている非人道的回収が横行しているのです。

 私たちは、国会によるRCCに対する実態解明を通じて、RCCは有害無益であることを、明らかにし、その解散を求めます。

《資料》衆議院調査局 予備的調査報告書

                                                       

 

シンポジウム【ストップ・ザ・銀行被害】ご報告

【ストップ・ザ・銀行被害】のご報告 

             

2019年11月9日(土)1時開場1時30分~4時   

場所 御茶ノ水  中央大学駿河台記念館420号室

千代田区神田駿河台3-11-5  資料代500円

10月12日に予定しておりましたシンポジウム「STOP・the・銀行被害」ですが、大型台風接近のため11月9日土曜日に延期しました。

シンポジウムでは、パネリストとして、経済学者 金子勝先生、ノンフィクション作家 山岡淳一郎氏、ジャーナリスト 山田厚史氏、報告者として、都留信用組合被害者の会代表の渡邊芳之氏から、それぞれお話をいただきました。

最初に、都留信用組合被害者の会代表の渡邊芳之氏から、ご自分の被害体験を報告していただきました。渡邊氏のような被害事例は鹿児島でも起きており、今さらながらに、金融機関のモラルの低下に、驚くばかりです。

金子先生のお話は、日本社会が衰退に向かっているという生易しいものではなく、このままでは、日本経済が全滅に近い状態に陥るであろうという、大変ショッキングなお話しでした。しかし、金子先生のお話は、大変説得力のあるものでしたので、多くの参加者の皆様は、金子先生のお話にひきこまれていました。

また、山岡淳一郎氏からは、スルガ銀行被害者の取材を通じて、現在の地方銀行の危機にひんしている実情などを伺うことができました。スルガ銀行は、現在、第一線で活躍する高所得者サラリーマンや働き盛りの人々に対して住宅ローンの勧誘を行い、その住宅ローンを組む際、収入をカサ上げしたことも問題ですが、老後の生活への不安をあおり、過剰な融資をしたことで、この被害はさらに拡大した。スルガ銀行の創立家への過大貸付がスルガ銀行の体質を劣化させていたこともある、との指摘もありました。また、住宅ローンのあり方についてもふれられました。

山田厚史氏からは、山岡氏の話と同様に、地方銀行が大変な苦境にあり、その経営が危ぶまれていることが指摘されました。地方銀行も、生き残りをかけて、借り手にとって不利な、さまざまな融資話や投資話をもちかけ、今現在も被害にあっている人がいるかもしれない。借り手にとって不利な条件であっても、リスク説明がないままに、利率のよい融資の話をし、高齢者がとても騙されやすいターゲットであること。現在、被害にあった多くの人々は、高齢であり、その家族の方々も、連帯保証など、様々な被害を被って苦しんでいる実情がある。また、生命保険などのかけ替え勧誘は、保険会社の利益を目的としたもので、被保険者の利益になるものとはいえない。株式市場で、株価が上がっているが、本来株価は下がっていておかしくないものであり、いつバブル崩壊の危機になってもおかしくないというお話をされました。 最後に、山田氏の「皆さん、死んでは駄目ですよ!頑張っていきましょう。」 という言葉が、心に響いたという声も参加者の方から聞かれました。


 

※チラシ※  


 


※資 料※







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ストップ・ザ・銀行被害 集会のご案内

゠銀行被害者の救済と顧客第一の業務体制への転換を゠

 

スルガ銀行はじめ、西京銀行、西武信用金庫、東日本銀行、都留信用金庫など金融機関の不祥事が相次いで明るみにでています。2018年だけでも、全国で発覚した銀行の不祥事は、約30件にのぼるといわれております。

スルガ銀行のばあいは、シェアハウス向け融資をめぐり審査書類の改ざんを行ったことが知られていますが、西武信用金庫のばあいは、過去の入居実績や投資家の預金残高を改ざんしたことに加え、準暴力団とみられる人物の家族への融資も判明しています。

これら金融機関の不祥事の原因は、低金利の長期化で収益の基盤である利ざや(貸出金利と預金金利の差)が稼げず、収益力が低下しているところから、収益拡大のために、貸し倒れリスクのあることを承知で、融資拡大に躍起となったことによるものです。まさに、バブル期に銀行が融資拡大のために、押しつけ提案融資を行い100万人ともいわれる銀行被害者を生み出したことの再来を彷彿とします。

しかし、バブルにより、銀行が、あれだけの国民に多大な負担を強いたにもかかわらず、再び同じ過ちを繰り返しているのは、銀行が、真剣に反省をしなかったからにほかなりません。そして、なによりも、国が、信用秩序の維持を大義名分に、銀行に対しては、公的資金の投与や税の軽減措置などさまざまな救済策をとり、銀行を甘やかしたのです。一方、肝心の銀行被害者の救済策はまったく講じられないまま、現在にいたっています。

今度こそは、三度、同じ過ちを繰り返させないため、銀行に対し、「顧客優先」を徹底した業務体制に転換させる方策と、銀行被害者の救済策が真剣に検討されなければなりません。

当会は、今回、銀行に顧客第一の業務体制に転換させるには、金融行政も含めて、どのような改革をするべきか、また、銀行被害者の救済はどうはかられるべきかをテーマとしてシンポジウムを開催することにいたしました。パネリストの方々は、金融問題の専門家として知られる三人の方々です。

 是非ご参加くださいますよう、ご案内いたします。

              記

2019年11月9日(土)1時半~4時(1時開場) 

中央大学駿河台記念館420号室 千代田区神田駿河台3-11-5

TEL 03-3292-3111 

アクセス  https://www.chuo-u.ac.jp/access/surugadai/

      

デモクラシータイムス『銀行の罠 』配信中 

当会が協力しておりますデモクラシータイムスの番組、『銀行の罠』第4弾 信用保証は誰のため?銀行と信用保証協会が人の好い連帯保証人をしゃぶりつくす話  かぼちゃの馬車(番外編)がUPされております。

是非ご覧ください。


『銀行の罠』第4弾 信用保証は誰のため?銀行と信用保証協会が人の好い連帯保証人をしゃぶりつくす話 

https://www.youtube.com/watch?v=W4O0BC56x6o


かぼちゃの馬車(番外編)

https://www.youtube.com/watch?v=-sYC-zXqpyI

ニュース屋台村に三菱銀行の記事が掲載されました

ニュース屋台村『山田厚史の地球は丸くない』第139回より

【誤り自己修正できない三菱銀行】
 延滞金利14%、変額保険で苦しめ更に 


 年利14%もの延滞利息を請求し、自宅・アパートを差し押さえた三菱UFJ銀行の取り立てを前号で紹介した。
 国会でも取り上げられ、金融庁も重い腰を上げざるをえなくなった。
 預金金利は限りなくゼロに近いというのに市場レートとかけ離れた暴利を請求する銀行。「払えないなら」と生活の糧や住んでる家を奪うというのは、「病人の布団を剥ぐ」とされる高利貸しさながらの所業である。
 三菱UFJ銀行はどう考えているのか。取材で明らかになったのは、過ちを自己修正できない巨大銀行の寒々とした現実だ。

 「個別案件についてお話しすることはできません」
 取材を申し入れると三菱UFJの広報は、取り付く島もない対応だった。銀行とお客様の取引に絡むことは公表しないのが原則だという。
 私は長く金融記者をしていたが、銀行は「個別案件」の情報を漏らしまくっていた。経営難に陥った企業の救済、回収困難の融資先への債権放棄、成長産業への応援・・・。全て「個別案件」だが、銀行は積極的に、時には渋々と公表して来た。産業や個人にカネを貸してお手伝いする、という銀行業務は個別案件の塊である。            
 銀行に都合がいいことはどんどん提供するが、不利な情報は「個別案件」を理由に口を閉ざす。しかし、こんなことで争っても先に進まない。質問を変えた。
 「個別の問題は脇に置きましょう。三菱銀行の業務方針について伺いたい。延滞金利を14%と定めている根拠は何でしょうか?」
 千葉県柏市のAさんのご両親は、平成元年に相続税対策として変額保険を進められ、2億円の融資を三菱銀行から受けた。この時、契約書に「遅延損害金14%」という項目が盛り込まれていた。利息の支払いが遅れたら年14%の延滞金利を払う、という約束である。
 Aさんのご両親は契約書にハンコを押した。14%を了解した、ということになるが、契約内容の細目の説明はなかった、という。契約書は双方が一通ずつ保管するのが通常の契約だが、Aさんの場合、融資を受ける側が銀行にハンコを押した書類を提出する「差し入れ方式」だった。
 仮に、14%という延滞金利の説明があったとしても、「高過ぎる。もっと低く」と主張できただろうか。融資を受ける時に、延滞が起きることを前提に交渉することはまずない。
 延滞金利は貸し手である銀行が一方的に決める。借り手は請求があって初めて「こんな高い金利があったのか!」と驚くことになる。
 三菱UFJ銀行に「14%に定めた根拠を知りたい。担当部署から取材をしたい」と申し入れた。答えは「それは難しい」
 「取材拒否ということですか?」と尋ねると「お答えを差し控えさして頂く、ということです」
 新聞社で記者をしていた時、銀行の業務で分からないことがあれば、広報に担当を紹介してもらい説明を聞くことがよくあった。銀行ビジネスは素人に分かりにくい。多く専門家に聞くのが取材の常道である。
 延滞金利は法務部の担当だ。しかし「法務の関係者は取材を受けない」という。
 やむなく三菱UFJ銀行の内部関係者に探りを入れた。参議院の法務部会で仁比聡平議員(共産)が金融庁に指導を求めたことも知られており、「世界は丸くない」など私が書いた記事も読まれていた。
 銀行内でも大方の受け止め方は「自宅やアパートまで差し押さえるのは顧客への対応として問題がある」「金利が14%というのは現実的とは思えない。ほんとに取り立てるのか」と極めて常識的なものだった。
 変額保険は三菱銀行が積極的な営業をかけバブル崩壊で顧客に多大な損害を与え、銀行史に汚点として刻まれている。もう忘れたい事件なのに、荒っぽい回収で再び世間に注目されることはと得策ではないだろう。
 債務者であるAさん一家は、両親の借金2憶円を完済している。母親の借金1億円分の金利が2年足らず滞ったことを口実に2172万円を請求し、住む家まで取るとという。
 「わずか2000万円の回収で三菱のイメージに傷をつける愚挙は避けたい」と考える行員は少なからずいるという。ところが、関係者は溜息まじりにこう言う。
 「銀行内部で議論すると、『契約書に従って回収するのがなぜいけない』『債権回収は徹底して行うべきだ』『ダイヤモンド信用保証に委ねている回収業務に銀行が口を出すのは筋が違う』などの強硬論が勢を増す」
 歴史的低金利で、三菱に限らず銀行はどこも経営が窮屈になっている。現場は血眼になって収益のタネを探している。法律に沿って問題のない回収業務をなぜ緩めなければならないのか。議論すればするほど銀行の内部で「筋論」が優勢になり、世間常識と乖離していくというのである。
 借金の取り立ては強面の弁護士を雇い、実務を依頼している。債権者の事情などお構いなしに冷酷な取り立てをするケースが目立つ。銀行員はその陰に隠れ、汚れ仕事を荒っぽい弁護士に任せる。
 金融庁も「民間企業である銀行の回収方針に口を出すことはできない」と建前論を繰り返す。そうは言っても、国会で金融庁の姿勢を問われている。Aさん一家が身ぐるみを剥がれる事態になれば、ニュース屋台村だけでなく大手メディアも注目するだろう。
 金融庁は裏で、銀行の金融庁担当を呼んで「穏便な解決」を求めているはずだ。銀行側は「金融庁のご指導もあり」と競売を取り下げる可能性もある。
 「欠陥商品」とされた変額保険で客を地獄の苦しみに叩き落し、死亡によって得た保険金でやっと借金が返せた。ホッとしたのもつかのま。「利息が遅れた」というだけで生活の糧を断つ。三菱銀行の眼中には顧客の事情など入っていないのか。
 メディアで問題にされ、国会で追及を受け当局が裏で示唆する「ご指導」が無ければ、改めることさえできない。こんな銀行に未来はあるのだろうか。
 

※下記URLをクリックすると屋台村の記事が見られます

http://www.newsyataimura.com/yamada-5/

金融庁への申入れと国会議員要請

 さる5月7日、当会は「不当競売等の無法回収を許さない銀行被害者の会」とともに金融庁に申し入れをし、その後、衆・参国会議員会館にて要請を行いました。

「不当競売等の無法回収を許さない銀行被害者の会」は、バブル崩壊後、銀行が、詐欺的手法で巨額な融資を押しつけた債務者、連帯保証人らに対して、銀行は、自らの非を棚上げして、不動産に対する競売、預金差押など全財産に対して恣に無法な債権回収を強行してきていることに抗議し、これを許さないために立ち上がった銀行被害者によって組織されている会です。

最近の金融機関は、バブルの再来とも思われる現象が生じています。

金融機関は、バブル崩壊後約30年経過し、バブルの反省も忘れ、長引くゼロ金利政策のもとで収益激減の穴埋めのために、無理な融資や無法回収を増大しています。

スルガ銀行がその筆頭にあげられますが、中小金融機関に限られません。

日本を代表する三菱UFJ銀行も、年14パーセントの遅延損害金を得たいために、子会社のダイヤモンド信用保証会社に、元本を全額支払った変額保険の被害者の自宅、アパートに競売を申立てさせているのです。

そもそも、三菱銀行は、バブル時、融資量が大手5行で最下位に落ちたため、これを挽回するために、個人に対し、相続税の不安を煽り、融資一体型変額保険を大量に売りまくり、そのために多くの被害者を生み出しました。変額保険問題は、三菱銀行歴史上の大きな汚点として、三菱銀行は決して忘れてはならないものです。

それを再び、性懲りもせず、三菱UFJ銀行は、変額保険の被害者に牙をむいたのです。

このような自行の利益のためには、債務者を犠牲にすることを厭わないという三菱UFJ銀行の姿勢は、金融庁の提唱する「顧客本位の原則」とは、対極にあるものです。

そこで、三菱銀行変額保険被害者遺族Sさんも、先日、金融庁に対し、三菱UFJ銀行の不当競売について、調査、ならびに競売を取り下げさせるよう、権限発動を求める申立を行いました。

しかし、昨今の金融行政は、消極姿勢が目立ち、十分な調査がなされないのではないかということが懸念されます。

当会が、これまで、金融機関の不当な債権回収について、金融庁に調査などを求めました折に、金融庁は、個別の案件には関われないとか、金融庁は、民民の争いは監督する立場にはないという口実のもとに、銀行をかばいだてしてきたからです。

しかし、銀行の業務を監督するのが、金融庁の重要な任務です。

銀行の主要な業務は、顧客との個別取引であり、個別ではない取引などありません。また銀行の取引先は、一般には、民間人か民間企業です。金融庁が、個別の案件だから関われないというのは、金融庁の監督責任の放棄です。

昨今の金融行政は、亀井静香元金融担当大臣が言われた「債務者の視点に立った金融行政」から著しく後退しているように思われます。

そもそも、バブル期に巨額な不良債権の山が築かれたのは、大蔵省の銀行に対する監督を放棄していたからです。金融庁は、その反省を忘れたとしか思えません。

当会は、金融庁が、銀行をかばい立てするのではなく、銀行に対して、厳しい態度で臨むことこそ、金融機関の自立性、健全性の向上につながると考えます。

債務者からの訴えが、たとえ一例であっても、それは、氷山の一角です。昨今のスルガ銀行などの銀行不祥事が相次いだことを契機に、金融庁の消極的な監督姿勢について、批判が向けられていますが、スルガ銀行の問題融資については、すでに前から金融庁に訴えは届いていたはずです。

金融庁が、それらの訴えに耳を貸し、十分な調査をされれば、スルガ銀行の抱える問題が明らかになるはずです。その結果、被害者が救済されるだけではなく、また、被害の多発も防げた筈であり、ひいては、スルガ銀行自体も重大な信頼失墜を避けられたものです。

あらためて、当会は、金融庁には、「債務者の視点に立った金融行政」という原点に立ち返り、金融機関の、債務者を犠牲にした債権回収業務については、厳しく指導監督されるよう要請しました。                        

そして、以下の要請書を提出しております。金融庁の厳正なる指導を願っております。


                 要 請 書


 金融庁長官 遠藤俊英  殿

                             2019年5月7日

 

                  銀行の貸し手責任を問う会

                        事務局長 弁護士 椎名麻紗枝

                  不当競売等の無法回収を許さない銀行被害者の会

                        代表       小堤忠夫

                  連絡先   〒100-0014

                  東京都千代田区永田町2-17-10

                     サンハイム永田町404、501号

                     椎名麻紗枝法律事務所気付

                     TEL 03-3581-3912

                     FAX 03-3593-0394


 「銀行の貸し手責任を問う会」は、1996年に会発足以来、バブル期の銀行による押しつけ提案融資の被害者の救済と銀行融資についての法的規制を求める活動に取り組んでいる市民団体です。

  また、「不当競売等の無法回収を許さない銀行被害者の会」は、バブル崩壊後、銀行が、詐欺的手法で巨額な融資を押しつけた債務者、連帯保証人らに対して、銀行は、自らの非を棚上げして、不動産に対する競売、預金差押など全財産に対して恣に無法な債権回収を強行してきていることに抗議し、これを許さないために立ち上がった銀行被害者によって組織されている会です。

ところで、バブル崩壊後、約30年経過し、銀行の不良債権処理はほぼ終了したとされる一方、債務者の権利保護については、なおざりにされてきました。

連帯保証については、債権法の改正にともない、今後は改善されることになりましたが、既に連帯保証人にさせられてしまっている人たちは、従前と変わりなく、厳しい取立を受けています。

さらに、消費者被害の温床といわれる民訴法228条4項(印鑑による本人意思の推定規定)についても、いまもって廃止されておりません。

金融庁は、平成12年の金融商品販売法の立法化にあたり、銀行融資についても、いずれホップ、ステップ、ジャンプで、同法の対象にすると約束されましたが、まだ実現にはいたっておりません。その他、銀行融資についての法的整備はまったく手つかずのままです。

現在、スルガ銀行の例に端的なとおり、金融機関に、バブルの再来とも思われる現象が、生じています。長引くゼロ金利政策のもとで、収益が激減している金融機関は、バブル期の反省も忘れ、収益拡大のために、無理な融資や無法回収を増大しています。しかし、これらは、中小金融機関に限りません。

日本を代表する三菱UFJ銀行も、債権回収の極大化のために、元本は全額支払った変額保険の被害者の遺族に、約定利息の受領を拒否し、14パーセントの遅延損害金を得るために、被害者の自宅アパートに競売を申立てきているのです。

自行の利益のためには、債務者を犠牲にすることを厭わないという三菱銀行の姿勢は、金融庁の提唱する「顧客本位の原則」とは、対極にあるものです。

三菱銀行変額保険被害者遺族も、先日、金融庁に対し、三菱銀行の不当競売について、調査および是正措置を求めて、権限発動の申し立てをしております。

しかし、昨今の金融行政は、消極姿勢が目立ち、十分な調査がなされないのではないかということが懸念されます。

私たちも、これまで、金融機関の不当な債権回収について、金融庁に調査などを求めました折に、金融庁は、個別の案件には関われないとか、金融庁は、民民の争いは監督する立場にはないという口実のもとに、銀行をかばいだてしてきたからです。

そもそも、銀行の業務を監督するのが、金融庁の重要な任務ではありませんか。

銀行の主要な業務は、顧客との個別取引であり、個別ではない取引などありません。また銀行の取引先は、一般には、民間人か民間企業です。金融庁が、個別の案件だから関われないというのは、金融庁の監督責任の放棄です。

昨今の金融行政は、亀井静香元金融担当大臣が言われた「債務者の視点に立った金融行政」から著しく後退しているように思われます。

そもそも、バブル期に巨額な不良債権の山が築かれたのは、大蔵省の銀行に対する監督を放棄していたからではありませんか。金融庁は、その反省を忘れたのですか。

私たちは、金融庁が、銀行をかばい立てするのではなく、銀行に対して、厳しい態度で臨むことこそ、金融機関の自立性、健全性の向上につながると考えます。

債務者からの訴えが、たとえ1例であっても、それは、氷山の一角なのです。昨今のスルガ銀行などの銀行不祥事が相次いだことを契機に、金融庁の消極的な監督姿勢について、批判が向けられていますが、スルガ銀行の問題融資については、すでに前から金融庁に訴えは届いていたはずです。

金融庁が、それらの訴えに耳を貸し、十分な調査をされれば、スルガ銀行の抱える問題が明かになるはずです。その結果、被害者が救済されるだけではなく、スルガ銀行自体も、重大な信頼失墜を避けられ、ひいては金融システムへの信頼にもつながります。

今こそ、金融庁には、「債務者の視点に立った金融行政」という原点に立ち返っていただき、金融機関の債務者を犠牲にした債権回収業務については、きびしく指導監督されるよう要請するものです。                         


【国会議員の先生方への要請文】 

                  要  請  書

 

拝啓 深緑の候ご清祥のことと存じます。

    先生には、日頃、私どもの活動をご理解いただき、ご支援いただいておりますことに心から感謝申し上げます。

  「銀行の貸し手責任を問う会」は、1996年に会発足以来、バブル期の銀行による押しつけ提案融資の被害者の救済と銀行融資についての法的規制を求める活動に取り組んでまいりました。

  また、「不当競売等の無法回収を許さない銀行被害者の会」は、銀行が、バブル時に詐欺的手法で巨額な融資を押しつけた被害者、連帯保証人らに対して、バブル崩壊後、銀行は、自らの非を棚上げして、債務者、連帯保証人らの不動産に対する競売、預金差押などの全財産に対して無法な債権回収を強行してきていることに抗議し、これを許さないために立ち上がった銀行被害者によって組織されている会です。

ところで、バブル崩壊後、約30年経過し、銀行の不良債権処理はほぼ終わったとされる一方、債務者の権利保護についてはなおざりにされてきました。

連帯保証については、債権法の改正にともない、今後改善されることになりましたが、既に連帯保証人とされてしまっている人たちは、従前どおり厳しい取立を受けています。

また、消費者被害の温床といわれる民訴法228条4項(印鑑による本人意思の推定規定)は、いまもって廃止されておりません。その他、銀行融資についての法的整備はまったく手つかずのままです。

現在、スルガ銀行の例に端的なとおり、金融機関に、バブルの再来とも思われる現象が、生じています。長引くゼロ金利政策のもとで、収益が激減している金融機関は、バブル期の反省も忘れ、収益拡大のために、無理な融資や無法回収を増大しています。

しかし、これらは、中小金融機関に限りません。

日本を代表する三菱UFJ銀行も、債権回収の極大化のために、元本は全額支払った変額保険の被害者の遺族に、約定利息の受領を拒否し、14パーセントの遅延損害金を得るために、被害者の自宅アパートに競売を申立てきているのです。

それに対し、三菱銀行変額保険被害者遺族は、金融庁に対し、三菱銀行の不当競売について、調査および是正措置を求めて、権限発動の申し立てをしております。三菱UFJ銀行が、自行の利益拡大のためには、個人を犠牲にすることを厭わないという姿勢は、金融庁の指導する「顧客本位の原則」の対極にあるものです。

しかし、昨今の金融庁の監督姿勢は、きわめて消極的であり、三菱銀行に対して、十分な調査が行われるか懸念されます。

これまで、私たちは、金融庁に金融機関の不当な債権回収について調査などを求めましたが、金融庁の最近の対応は、個別の案件には関われないとか、金融庁は、民民の争いは監督する立場にはないという口実のもとに、銀行をかばい立てしてきたからです。

そもそも、銀行の業務の監督は、金融庁の重要な職務です。銀行の主要な業務は、顧客との個別取引であり、個別取引ではない取引などあり得ません。また、銀行の取引先は、一般に民間人か民間企業です。金融庁が、個別の案件だから関われないというのは、金融庁の監督責任放棄です。

債務者からの訴えが、たとえ1例であっても、それは、氷山の一角です。昨今、スルガ銀行が問題になっておりますが、金融庁には、既にずいぶん前から、スルガ銀行に対する訴えは届いていたはずです。

金融庁が、それらの訴えに耳を貸し、十分な調査をしていれば、スルガ銀行の抱える問題が明かになっていたはずです。その結果、被害者が救済されるだけではなく、被害の多発も防げ、ひいてはスルガ銀行自体も、重大な信頼失墜を避けられたに違いありません。

昨今の金融行政は、亀井静香元金融担当大臣が言われた「債務者の視点に立った金融行政」から著しく後退しているように思われます。

私たちは、金融庁が、銀行をかばい立てするのではなく、銀行に対して、厳しい態度で臨むことこそ、金融機関の自立性、健全性の向上につながると考えます。

そこで、本日、私たちは、金融庁に対して、「債務者の視点に立った融行政」という原点に立ち返り、金融機関の債務者を犠牲にした債権回収業務についてきびしく指導監督されるよう要請してまいりました。

先生におかれましては、国政調査権を有する国会で、金融行政のあり方を追及されると同時に、銀行被害者が理不尽な債権回収によって、生命、生活が脅かされることのないようご尽力いただけますようお願いするものです。  敬具                                                            

            

YouTube配信のお知らせ

憲法・政治・経済など、幅広くYouTube(ユーチューブ)で発信しているデモクラシータイムスが、

新番組として、「金融被害の実態を告発する」シリーズを企画し、『銀行の罠』を配信しております。

この番組制作には当会も協力しております。

パソコンの検索画面に、「ユーチューブ銀行の罠」、または、下記URLをクリックして頂ければ、

番組がご覧いただけます。


vol.1       信じた銀行に父子2代身ぐるみ剥がされる話20181229

              https://www.youtube.com/watch?v=7wuQ7qaTmt0


vol.2       相続税対策のはずがローン地獄と競売にいきつく変額保険の話

              https://www.youtube.com/watch?v=mdI1S8t7bsE


vol.3       魔法がとけたかぼちゃの馬車 中堅サラリーマンに返済不可能な融資を銀行が押付けた話

              https://www.youtube.com/watch?v=Jp71v-Kfzqo


vol.4       信用保証は誰のため?銀行と信用保証協会が人の好い連帯保証人をしゃぶりつくす話        

               https://www.youtube.com/watch?v=W4O0BC56x6o


かぼちゃの馬車(番外編)

     https://www.youtube.com/watch?v=-sYC-zXqpyI


是非、ご覧いただき、また、多くの方にもお知らせいただきたいと思います。

どうぞご協力を、よろしくお願いいたします。

韓国主催第9回東アジア金融被害者交流集会

2018年10月18日から10月20日まで、韓国主催で第9回東アジア金融被害者交流集会が行われます。過剰債務や、金融サービサーの問題は、日本だけではなく、韓国や米国、他の国でも重要な問題と考え、連帯を求めるために、下記、日本からの報告書として提出いたしました。 

日本における金融サービサーの誕生とその後の変質

2018.10.18

                           銀行の貸し手責任を問う会事務局長   

                          椎名 麻紗枝(弁護士)

1.日本における金融サービサーの誕生

債権回収会社は、1998年に「債権管理回収業に関する特別措置法」(通称金融サービサー法)により誕生した。

バブル崩壊後、日本経済は、長期の不況が続き、金融機関の破綻も相次いだ。しかし、一方で、金融危機が大きなビジネスチャンスになる企業もある。その筆頭は、外資系「ハゲタカファンド」であった。

当時、アメリカの投資ファンドや金融機関は、約30兆円とも言われていた世界最大規模の日本の巨大不良債権マーケットへの参入を狙い、日本政府に不良債権を市場に放出することを強く求めていた。

日米首脳会議、あるいは次官級会議でも、常に不良債権処理が議題にのぼり、日本政府もアメリカ政府に対して、不良債権の迅速な処理を約束した。しかし、これは表向きで、内心は、消極的であった。金融機関はもちろん、監督官庁も、不良債権の実態が明らかになれば、自らの責任が追及されるのは不可避であると考えたからである。

日本には、不良債権処理の制度としては、1993年に都市銀行など162の民間金融機関が出資して設立した共同債権買取機構があった。しかし、同機構が買い取った担保不動産は、5年以内に売却できなかったときは金融機関が買い戻すというシステムになっていたため、ほとんどが市場に出回ることはなかった。

アメリカは、不良債権が市場に放出されないことにいらだち、具体的な要求を突きつけるようになった。それを受けて議員立法により成立したのが、「債権管理回収業に関する特別措置法」(金融サービサー法)である。

この法案提出の中心となったのは、自民党の「土地・債権流動化促進特別調査会」(後に「金融再生トータルプラン推進特別調査会」に改称)であるが、同調査会は、アメリカで、不良債権問題の処理策のひとつとして行われていた金融サービサー制度を日本に導入し、日本の不良債権処理の迅速化に役立てるというものであったが、本当の狙いは、「不良債権を市場に放出させること」にあった。

 

2.金融サービサーの高利潤性

言うまでもなく、この不良債権市場に真っ先に参入したのは、外資系投資ファンドである。外資系ファンドの債権回収の手口は、従来の不良債権回収の手法を超えるものであった。

アメリカで不良債権処理のビジネスモデルを確立した外資系ファンドにとっては、日本の不良債権を市場に放出させてしまえば、あとは彼らの独擅場である。彼らは、第一に不良債権を買い取って企業乗っ取りに専念した。M&Aを仕掛けるにしても、株式の取得よりも、不良債権の買取の方がはるかにコストが安くすむ。バブル期に金融機関からそそのかされて銀行から巨額な借金をして設備投資をして、経営危機に陥っている旅館、ホテル、ゴルフ場などが外資系ファンドから狙われた。外資系ファンドは、あらゆる企業の不良債権を安値で買い取り、巧みにこれらの企業の債務整理をした上転売して、巨額な利益を得た。その利益の移転先はケイマン諸島を中心としたタックスヘイブンであった。

外資系企業は、日本の不良債権市場を「宝の山」と呼んでいた。これを見た日本の信販会社、消費者金融などさまざまな業種の会社が、不良債権ビジネスの高利潤性に注目して、続々と債権回収業務に参入していく。同法施行後、法務大臣の許可を受けた債権回収会社は、当初、27社、取り扱い件数も約15万件、取り扱い債権額は、7兆円だったが、8年後には、100社、累計取り扱い件数も5627万件、累計取り扱い債権額も223兆円に増大した。

そして、現在は、累計取り扱い件数1億5899件、累計取り扱い債権額410、9兆円、累積回収額48兆1979億円にのぼり、巨大市場に成長した。

 

3.債権回収会社の出資母体

債権回収会社は、その出資母体別に区分けすると、「外資系」「銀行系」「ノンバンク(信販、貸金系)」「独立系」さらに「整理回収機構」の5に分けられる。整理回収機構は、預金保険機構が全株出資している国策債権回収会社である。

これらの債権回収会社の債権回収の手口には、それぞれ特徴がある。外資系は、前述したように、大口不良債権を買い取ってM&Aを仕掛けることであり、消費者金融は、小口債権の取立である。一方、整理回収機構は、国策債権回収会社として、債権回収会社とは一線を画しているようにも見えるが、実際には、迅速な不良債処理を名目に、民事執行法の改悪や破産法の運用など不良債権回収をリードしてきたものであり、整理回収機構抜きに、日本の不良債権回収問題は語れない。整理回収機構が債権回収でどれだけ利益をあげていたかが、2005年に、衆議院予算委員会で明かになった。整理回収機構は、無担保債権を一律1000円で6342件買い取り、112億円回収しているのである。わずか、600万円の元手で、112億円もの収益を上げたのである。尋常な手法で回収できる金額ではない。このように、高額の債権回収をはかる整理回収機構の手法は、他の民間債権回収会社にとってのガイドラインとなっている。

 

4.債権回収のフロントランナーとしての整理回収機構

整理回収機構は、株式会社ではあるが、全株預金保険機構が出資している公営企業である。また整理回収機構は、「銀行」と位置づけられているが、「預金」「貸出」も行わず、もっぱら不良債権回収が業務の中核である。整理回収機構は、回収指針として、「契約の拘束性の追求」「人間の尊厳の確保」「企業再生の追求」をうたっている。整理回収機構は、債権回収会社のモデルとなることが期待されているものである。

しかし、実際には、整理回収機構が行っているのは、債務者、連帯保証人に対する情け容赦のない回収である。債務者や連帯保証人に資力がなくても、関係企業や親族に資産があるばあいには、「法人格否認」や「詐害行為」を理由にして、訴訟を提起する。裁判所は、整理回収機構の言い分は、ほとんど例外なく鵜呑みにする。裁判所が、整理回収機構の言い分を鵜呑みにする背景には、裁判官が、整理回収機の公益性を高いと信じていることに加え、整理回収機構の上部組織である預金保険機構の役員や職員には、法務省や裁判所からの出向者が多数いることもある。

私は、私の関わった整理回収機構が、老舗旅館に「企業再生」を名目に破産申立をした事件で、整理回収機構との具体的な癒着関係を目の当たりにした。

整理回収機構が老舗旅館に行った債権者破産申立による企業再生という、それまで前例がなかった。整理回収機構は、この事件を突破口にして、全国に、企業再生を名目にした債権者破産申立をして、莫大な債権回収をはかる予定であった。破産手続より事業譲渡したほうが、回収利益は比較にならない。外資系投資ファンドを真似たものである。

それには、この事件が最適であった。当該地裁の所長が、新破産法の法案審議の際に、最高裁判所長官代理として国会答弁をしており、ミスター破産法といわれていた。彼は、破産実務をリードする裁判官としての自負のもとに、破産手続におけるリーディングケースづくりに意欲的だった。当該所長自身も、「炎天下に生魚を裂く」ように迅速にやらないと企業は腐ってしまうという考えのもとに、迅速に当該所長は事業譲渡をすすめるため、所長自ら、破産事件の審理に立ち会い、債務者の尋問を行った。つまり、4人の裁判官で審理をしたのだ。

この時点では、私は、債務者の代理人ではなかったが、破産開始決定の後に、代理人となって、上記の事実が判明した。地裁は、所長が審理に立ち会うことを認めてしまったことから、当方からの、所長は、どういう立場で立ち会ったのかという質問に対しては、「書記官補助」という意味不明に終始していた。その後、マスコミの取材もあり、当該弁護士会も、臨時総会を開催し、所長に対する懲戒処分をするよう最高裁に申し入れをすることが決議されるにいたり、最高裁も同所長に対し口頭の戒告を行った。しかし、それでもなお、裁判所は、この旅館の事業譲渡先として、整理回収機構の社長の顧問先企業を許可している。

なお、債務者を恐れさせているのは、整理回収機構の、破産法違反、執行妨害などを理由とした刑事事件の告発である。整理回収機構が借り手に対して刑事告発した事件227件(平成11年4月~平成30年3月。それ以前の住宅金融債権管理機構、整理回収銀行の刑事告発を合わせると318件)のうち約99パーセントが、起訴され、有罪に持ち込まれている。

しかも、否認していると、長期間逮捕勾留されているケースが多い。それにより、海外へ移動された資産の大半も、取り戻しに成功している。

 

5.債権回収会社の変質

2008年頃から、銀行の不良債権処理が一段落し、取り扱い不良債権が減少する中で、現在は、債権回収会社は、86社に減少している。日本の不良債権市場を「宝の山」と呼んでいた外資系債権回収会社は、ほとんど大口不良債権は出尽くしてしまったと考え、債権回収業務から撤退している。

一方、消費者金融系の債権回収会社は、貸金業では、利息制限法により、投下資本の回収に上限規制があり、かつ過払い金の返還問題もあるのに対し、債権回収業には、投下資本の上限規制がない。そこで、高利潤性のある債権回収業務に活路を見いだそうとしている。そのために、対象債権を銀行の不良債権だけではなく、未納税金、未払いの水道、電気、ガス料金、未返還奨学金などの債権にも拡大するため、これまで「貸金債権」とあったのを「金銭債権」とするなど金融サービサー法の改正に向けて全力を傾注している。今年の金融サービサー協会の本年の賀詞交換会には、与野党の国会議員が多数参加している。これら参加している議員の中には、利息制限法の改悪に賛同している議員の顔も多く見られ、このことからも、現在は、金融サービサー協会は、消費者金融系の債権回収会社が主導し、与野党への国会議員への働きかけを強めていると思われる。

「銀行の貸し手責任を問う会」は、対象債権の拡大に反対し、なによりも金融サービサー地獄の解消のために、まずは、債権回収会社に対して、投下資本の回収に上限規制を設けること、また売掛金、給与などの債権についての差押を禁止することなどの改正を要求している。そして、マスコミはじめ、法務省、金融庁、与党、野党の国会議員に、実例をもとにした金融サービサー地獄の実態を伝える活動を展開した。それも一因となって、法案は、前国会に上程されなかったが、しかし、金融サービサー協会は、法案の実現を悲願としているので、これで諦めたわけではない。次期国会が正念場となると考えて、多くの人々に法案の危険性を訴え、反対運動を広げなければならない。

 

6.結語、

私は、1996年に「銀行の貸し手責任を問う会」が発足して以来、同会の事務局長をしているが、この間、いかに債務者の権利がないがしろにされたかを痛感し、「債務者の権利」の確立を求めてきた。「消費者の権利」は、さまざまな積み重ねによって、確立されてきているが、消費者概念から除外される「銀行被害者」、「中小企業の経営」にとって、債務者の権利を確立する必要性は、非常に大きいと考える。とりわけ、金融資本は、グローバルであり、国際的にも連携する必要性を痛感する。

2009年に、サンフランシスコで、アメリカのサブプライムの被害者の救済活動をしている弁護士に会って、サブプライム被害の実態を聞いてきましたが、そのときに、世界的規模で、被害者およびこれを支援する人たちが手をつないで、債務者の権利を主張し、運動を広げる必要性をさらにつよく感じました。

ぜひ、本日の集会に参加された皆様にも国際的な「債務者の権利学会」の設立を視野にいれた討議をしていただくことを希望するものである。

                                                                                                                                                          以上

異議あり!金融サービサー法改正

2018年7月3日デモクラシータイムスで事務局長が金融サービサー法改正についての発言をしました。是非ご覧ください。
【山田厚史のここが聞きたい】&原口一博衆院議員&椎名麻紗枝弁護士2018/07/03収録 >対談内容は↓のURLをクリックしてご覧下さい。

2015・10・1 エディカス東京にて集会

《集会のご案内》    

                      銀行の貸し手責任を問う会

                       事務局長・弁護士 椎 名 麻 紗 枝

                        東京都千代田区永田町2-17-10

                                     サンハイム永田町404・501

                                    TEL 03-3581-3912  FAX 03-3593-0394

残暑の候 夏の暑さもやっと峠を越えましたが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。

永田町では、安保法制の廃棄を求める若い青年や母親がデモに参加する姿が多く見られ、これまでにはなかった風景です。安倍内閣の憲法を蹂躙する強権的な政治手法が、国民一人一人の政治への自覚を高めたとすれば、皮肉なことです。この国民の圧倒的な声に押されて、野党が統一すれば、一強多弱の政治状況は変わります。私たちも、この流れを推し勧め、私たちの要求が実現されるよう、運動を強めたいと考えます。そこで下記のとおり、10月1日(木)午後6時半より、千代田区麹町のエディカス東京にて、今後の会の活動についての意見交換会を行うことといたしました。 その中で、一昨々年、皆様から寄せられた意見広告募金の使途についても、皆様と検討したいと思います。

当会は1996年から、バブル期における銀行の押しつけ過剰融資の被害者救済と、銀行融資についての法的規制の立法化を求めて活動してきましたが、バブル崩壊から20年以上が経過した現在、銀行債務者の状況は大きく変化してきております。

当会に寄せられる相談も、個人債務者よりは、過剰債務の負担に苦しんでいる中小企業が格段に増加しております。当会は、銀行の貸し手責任を追及するという原点のもとに、中小企業の過剰債務の軽減に向けた活動を行っております。今年6月には、「中小企業等金融円滑化法の出口戦略を語る」と題して、亀井静香元金融担当大臣と原口一博元総務担当大臣の対談を企画いたしました。

意見交換会では、このような状況を踏まえ、会の活動の方向性を含めて、銀行の貸し手責任の法規制に向けた活動を、いかに効率的に進めるかについても議論したいと考えております。

お忙しいこととは存じますが、何卒万障お繰り合わせのうえ、ご友人・知人をお誘いいただき、 ご参加

くださいますようご案内申しあげます。

会場と配布資料の関係で、集会にご参加

いただける場合は、事前に、事務所まで、

TEL03-3581-3912、または

FAX03-3593-0394にてお知らせいただけ

ましたら有難く存じます。

地図URL

 http://www.mapion.co.jp/phonebook/M04101/13101/0000ZKET_001pa/


皆様のご参加をお待ちしています。

不順な気候でもございますので、どうぞ

ご自愛くださいますよう、お祈り申し上げます。

 

       記

10月1日(木) 午後6時半~8時半迄

千代田区全国教育文化会館B1

エディカス東京(千代田区二番町12-1)  

   最寄駅 有楽町線麹町歩2分           

TEL03-5210-3511   参加費500円                             

新書の紹介「新市民伝」NPOを担う人々

「新市民伝」は、朝日新聞経済部記者で、2009年に亡くなった辻陽明氏の遺志を継いだ同僚・友人・知人・家族による新市民伝制作プロジェクトにより、今年2015年6月に刊行されましたので、ご紹介いたします。当会「銀行の貸し手責任を問う会」も14頁に紹介されました。                                

               

                                           


《新市民伝制作プロジェクトHPより》

Amazonや書店にて「在庫切れ」や「お取扱いしておりません」の状況が続いており、大変ご迷惑をおかけしています。
★新市民伝制作プロジェクトまで直接メールをいただきますと、送料無料で直接発送いたします。 ★お名前、お届け先住所、冊数を明記の上、以下にメールをお送りください。
shinshiminden@yahoo.co.jp
どうぞよろしくお願いいたします。

本書について

本書の特徴は「多様性」です。10年20年という長期に渡り、様々な分野でNPO活動に奮闘してきた新市民、それを応援してきた人たち、市民セクターの制度作りに関わってきた人々。これら年齢、性別、背景の違う多様な人々の歩みや思い、提言を、ルポ、記事、寄稿などの形で、以下の4部構成でまとめています。
第一部では、さまざまな形のNPOの現場を訪ねて、じっくり話を聞いてきました。 第二部では、NPOやボランティアを支援してきた人たちから、NPOの意義や役割をお聞きしました。第三部では、新市民の活動や団体の紹介に加えて、次のような興味深いデータも加えました。元職業、目指す社会の姿、影響を受けた書籍等、応援している新市民 団体の拠点や法人形態、年間活動費(13年度実績)、有給職員数、連絡先 さらに、10年20年と活動を続けてきて、今、15年に何を思うかもお聞きしています。 第四部は、市民セクターを日本社会に定着させるための制度について、長期にわたり直接関わってこられた方々からの寄稿です。東日本大震災での活動や、若者を中心に生まれている新しい潮流も紹介します。 索引には、本書に登場する全団体を挙げました。
興味のあるNPOがきっと見つかると思います。本書はどこから読んでいただいてもかまいません。さっと開いたそのページから、NPOについて知り、考える一歩をぜひ踏み出してください。

目次: 

第1部 「新市民」の現場を歩く
第2部 NPOとともに生きて
第3部 「新市民」群像ーNPOの土台を築いた人々

子供 まちづくり 福祉 環境 海外支援 市民保護 NPO支援

第4部 NPOの歩みと日本社会ー創世記から発展期へ

 


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