奨学金返済問題を考える2016年11月12日集会

  (学生無料)

   ※是非お誘いあわせのうえ、ご参加ください。 お手数ですが、資料準備の関係で、

   ご参加いただける場合は、事前に事務所までお知らせくださいますようお願い申し上げます。

   


        《集会のご報告》

 奨学金返済問題を考えるー 奨学金「借りたら返せ」か?


11月12日(土)麹町のエデュカス東京(全国教育文化会館)にて、銀行の貸し手責任を問う会主催で、『奨学金返済問題を考える「奨学金借りたら返せ」か?』が開かれた。

 事務局長の椎名麻紗枝弁護士より、奨学金制度は、給付型でなく貸与であることが問題であり、現在、多くの学生が奨学金返済に苦しみ、その返済を免れるため自己破産しているケースが増大していることを知り、社会に出る時に重くのしかかる奨学金という借金を、「借りたら返せ」というだけでなく、なんとかしたいという思いでこの集会を開いたと挨拶した。

 まず、最初の発言者は、奨学金の返済に滞り、教員の夢をあきらめた静岡県の30才女性。奨学金返済の督促に苦しみ、現在も働きながら奨学金の返済をし、学ぶために借りた奨学金が、生活を圧迫している状況について語った。

親に資力が無いことから、奨学金を利用せざるを得ず、自宅と大学が通学に2時間ほどかかることから、勉学のために消費者金融からも借り入れをして、アパートを借りて一人暮らしをはじめたが、次第に返済が困難になり自己破産をすすめられた。しかし、以前両親がすでに自己破産しているのを経験していたため、自己破産だけは自分は絶対にしたくないと思っていたので、教員の夢をあきらめて、働いて返す道を選んだ。現在、月曜から金曜までフルタイムで働き、土日はアルバイトをして返済を続けている。督促は留保してもらっているが、期限が来れば、また厳しい督促を受ける毎日が始まる。唯一の救いは、婚約者ができて近々結婚が決まったことだが、奨学金返済の重圧は続く。

 和光大学教授の竹信三恵子先生からは、1980年くらいから高額化してきた学費の引き上げ、より良い就職を得るために、大学くらいはでないといけないという高い進学率と、あわせて、学費の重い負担にあえぐ学生の状況が語られた。奨学金で間に合わない学費・生活費はアルバイトをしないことには難しい現状、また、アルバイトは、雇用先の都合に合わせられないと雇ってもらえず、ブラックバイトなどに関わった学生は、シフトの関係で、勉学に集中することが出来なくなって単位を落とすこともある、など、学業に専念できない学生の事情や、先の見えない就職、学費返済のために、将来を不安に感じている大学生の現在を語り、奨学金制度・税制度の見直しと、給付型奨学金の必要性を訴えた。また、生活の厳しい学生を勧誘する自衛隊募集の案内を、大学内に多く見受けられることにも危惧を感じると語った。

ジャーナリスト山田厚史氏は、黒田金融政策と奨学金問題を取り上げ、黒田金融政策のマイナス金利の仕組みや、金融機関の対象が、企業から個人にシフトしていて、学生も、奨学金=教育ローンという借金で、金融機関のターゲットとなっている現実を語った。

ヨーロッパでは、学費が無料であったり、アメリカでは、財団の給付型奨学金もある、なのに日本には充分な予算がとられていない。国の予算で、軍事費、防衛費に何兆円もかけるのではなく、教育にもっと力を入れるべきと語った。

また、昭和と平成では、親の収入が伸びないにもかかわらず、奨学金など学費支払いの比率が大きくなって、まったく異なることも示した。

これからの若者が社会に出る時に、多大な借金を背負うのではなく、国のためにも、これから社会に出る若者が生きやすい世の中にしていくために、教育資金を国会予算で捻出することの必要性、経済、奨学金の仕組みを変えていく必要性を強く訴えた。(集会報告 三浦) 


*****1112集会  奨学金「借りたら返せ」か? に参加しての感想*****

 私は社会的に大きな話題となった奨学金返還問題のシンポジウムに初めて参加しました。

 「情」と「理」に満ちた深掘り論議に夢中に聴き入り、奨学金の在り方は若者を育てる日本の未来にかかわる喫緊の課題と痛感しました。

  冒頭、静岡から駆け付けた30歳の女性の体験報告には驚きです。一生懸命働いても、働いても返済金が膨らむばかり、そのうえ親の家業の破たんで奨学金の返還が困難に陥ってしまった…と。奨学金の利息と延滞金がかさみ借金は600万円と膨らみ続けるので、払いきれず、教員志望の人生目標を断念してしまったといいます。彼女の悲痛な訴えに思わず涙しました。

 なんとこのような奨学金返済に苦しむ若者たちの自己破産の申し立て件数が1万件を超えているという。取り立てもあこぎです。日本学生支援機構が自らの業務である奨学金返済業務を債権回収専業の金融サービス業者に代行させているケースも増えており、返済者に恐怖を与えています。

 そもそも奨学制度は教育基本法で「能力があるにもかかわらず、経済的理由によって就学困難な者にたいして」、国や地方公共団体がおこなう財政援助の制度です。返還の実態は「教育の機会均等を保障する」という制度の目的から大きく外れています。

 講演で竹信三恵子・和光大学教授は、奨学金返済が困難になる構造(原因)として①学費の高額化②親の貧困化③卒業後の低賃金化④教育ローンによる借金奴隷化⑤貧困の連鎖とブラックバイトを上げ、「奨学金を返させない社会」の構造改善を提起しました。

山田厚史さん(経済ジャーナリスト、デモクラTV代表)は、奨学金返還問題を格差と貧困化の元凶であるアベノミクスの柱「黒田金融政策」との関連で、政府の対応を批判、政治の力で緊急に救済策を示すべきだと訴えました。

 シンポに参加しての私の結論は奨学金の貸与は返済不要の給付型を本筋として、制度設計をすべきだということです。(了) (文 K・M )

*****1112集会  奨学金「借りたら返せ」か? に参加しての感想*****

去る11月12日、久しぶりに銀行の貸し手責任を問う会は、シンポジウムを、市ヶ谷のエデュカス東京で催した。

「借りたら返せ」か?とショッキングなテーマで、奨学金の返済問題について、お二人の講師を招いて、みんなで考えた。

先ず、奨学金返済に苦しむ体験をされている女性(30才)が勇気を出して出演、涙して語ってくださった。その後、和光大学の竹信三恵子教授から、教え子の奨学金制度を、「本人は返したくても返せない社会の仕組みがあるからだ」と、苦労する学生の実態を色々報告された。そのお言葉は、先にお話しくださった女性の話は裏付けるような内容でした。

いつもお馴染みのデモクラTVの山田厚史さんは、広い視野の知識から、アベノミクスは効果なく、日銀の黒田金融政策も、益々格差時代を作り、今後、奨学金は、破産問題に及ぶと論じられた。

若者が貧困で結婚も出来ず、結婚しても子供も産めず、人口は少子化と、高齢化の借金国になるが、国民はその未来に、どう対処して生きたらよいのか?

無償の教育なんて夢のまた夢だ。

バブルの被害者で、今は下流老人の私は、自分の年金と、奨学金問題とを重ねて考え込んだ。戦争で、食に飢え、教育どころでなく逃げ回った世代の者は、平和でさえあれば、どんな時代が来ても乗り越える自信がある。

その点、可哀想なのは、現代っ子。過保護に甘やかされ、育ち、猫も杓子も(誰もが)社会へのパスポートとして、大学を望む、塾で受験勉強にお金を使い、入学すると安心して、勉学に励む姿は少ない。アメリカは、入学は容易でも、卒業は難しいと聞く、バイトにゲームに励む奨学金なら、借りないほうが良い。

借金は怖い!身を亡ぼす事もある。

昔「大学は出たけれど・・・・」が流行語になった事があるが、今も正規雇用されず、派遣やバイトで何時リストラされるやら不安定な就労で、奨学金の返済がたまると、情け容赦のない取り立てが来るのを知って欲しい。人生の輝かしい門出が、借金の負のスタートとは悲しい。

優秀なエリートコースを行く者は別だが、学歴偏重をやめ、専門学校で職業の技術を身につけ、即戦力で役立つ自立した人間作りの教育をお願いしたい。

生活の余裕が出来れば、一生勉強だ。

人生の価値観を金や名誉に求めず、親や財産はあてにせず、自分の力で無理をせず、幸せになってください。(文 T・T )

                    


《集会資料(パンフレット)》

                            


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