(5)印鑑などによる文書成立真正の推定の廃止

銀行債務に限らず消費者契約のあらゆるトラブルは、事業者に有利に出来ています。というのも、サインや印鑑が押してさえあれば、全ての契約に自ら同意したとみなされるからです。

しかし、銀行や事業者は、しばしば契約内容の詳細やリスクについて説明していません。にもかかわらず、後からこれを主張しても、サインか印鑑があれば、何一つ認められません。

悪徳商法の温床にもなっているこの決まり(民訴法228条4項)は即刻廃止すべきです。

(6)銀行融資の銀行法等による規制の具体的強化

信じ難いことに、今なお、日本の法律では銀行融資の内容を具体的に規制する法律は存在しません。また、各種の法律上の不備が存在します。

例えば割賦(かっぷ=分割払い)販売法では、分割払いで買った商品に欠陥があった場合、購入者はクレジット会社に対してその支払を拒否する権利があります。しかし、分割払いの典型であるはずの、住宅ローンに対する銀行融資はこの規制の対象外なのです。

そのため、耐震偽装マンションの事件でも、割賦販売法が適用されれば購入者は販売業者と提携していた銀行に対するローンの返済義務を免除されるはずですが、現在の法律では難しくなっています。

割賦販売法の問題を含め、銀行融資にはリスクや契約内容の詳細な説明義務、違反時の罰則規定の導入など、当たり前の法的規制が必要だと考えます。

私たちは、銀行融資に関して、法律による詳細な規制の強化を求めています。

(7)金融サービサー法の改正

銀行債務の取立てが、実は非常に理不尽な仕組みで行われるケースがあるのを御存知ですか?

銀行は無担保の不良債権を、一律1000円程度で「取立て会社」であるRCCやサービサーと呼ばれる会社に売却しています。しかし、こうした回収会社は、債務者に当初の債権の額面通りの請求ができてしまうのです。例えば5000万円の債権を回収会社が1000円で買って、後は、連帯保証人の個人資産などから回収した分がそっくりそのまま彼らの懐に入るのです。
にもかかわらず、回収会社も銀行も、不良債権がいくらで売買されたか、開示する必要がないのです。

しかし、5000万円の債権を1000円で買っていることを隠したがるのは、その落差があまりに激しく、回収会社自身もよくないことをしていると考えているからです。仮に500万円を回収できたとしたら、元手の5000倍の利益です。

これほど暴利の商売が許されるのでしょうか?

私たちは、債権が売買される際は、債務者に売却価格が開示されるよう、金融サービサー法の改正を求めています。

(8)中小企業、個人の過剰債務の抜本的解消

日本の企業の99%(雇用者数は66%)は中小企業であり、これまでの日本経済を支えてきました。しかし、これら中小企業や個人の多くが、現在、返せない過剰な債務に苦しんでいます。

銀行は、そうした返せなくなった債務を、最終的には、不良債権として二束三文で回収会社に売却しています。債権回収会社は、回収の上限の規制がないため、苛酷な取立を行って、莫大な利益をあげています。

債権回収会社である整理回収機構のはあいは、無担保債権を1律1000円で、6342件買い取り、なんと112億円もの巨額な利益をあげているのです。

もともと過剰債務は潜在的不良債権なのですから、過剰債務を身の丈の債務に圧縮し、債務者の事業債権・生活再建をはかる方が、日本の経済にとっては、どれ程利益になるかわかりません。

バブル崩壊後、大銀行には総額12兆円を超える公的資金が投入され、かつ超低金利政策によって預金に利息を付ける必要もな<、保有株が下落すれば日銀が買い支え、さらに20年近く納税を免れるなど、銀行は信じられないほどの優遇措置を国から受けてきました。

その一方で、力の弱い個人や中小企業は、援助を受けられず、苛酷な取立てによって、事業破綻や自宅の競売などに追いやられるというのは、あまりに不公平ではないでしょうか?

銀行への公的資金の投入が、「金融システムを守るため」という理由で行われたことを忘れるべきではありません。

私たちは、アメリカが2008年に行った、サププライムローンの債務者の救済法をひとつのモデルとして、中小企業や個人の過剰債務を解消する仕組みをつくるベきだと考えています。これが実現されれば、多<の国民が銀行へ借金返済に追われるのではな<、設備投資や消費にお金を回すようになり、経済的にもよい結果をもたらすでしょう。

そして何よりも、多くの国民の生活が、平穏で幸せなものとなることにつながると考えます。私たちは、過剰債務の根本的な解決を、「国民の生活」という目線で行うことを求めています。