金融トラブル連絡調整協議会 ……2000.6.27
 


●金融庁の「金融トラブル連絡調整協議会」を傍聴しました。
 金融庁は、平成12年6月27日の金融審議会答申「21世紀を支える金融の新しい枠組みについて」等をふまえ、金融分野における裁判外紛争処理機関の改善につなげるため、「金融トラブル連絡調整協議会」を立ち上げました。
 この協議会の構成は、金融庁当局、消費者行政機関、消費者団体、各種自主規制機関、業界団体、弁護士会、学者経験者からなり、合計35人の委員のうち弁護士と消費者側の委員は計8人となっています。
 協議会は公開で、11月8日の第2回目の協議会から、申し込みにより抽選で約50名が傍聴できることになりました。
 「銀行の貸し手責任を問う会」からは3名が傍聴しましたが、ここで協議の対象となる「金融トラブル処理」とは、広い意味での相談・苦情処理・斡旋・調停・仲裁までを含むものとであること、協議会の目的は、これに該当する既存の各機関間の連携、調整をはかる程度のものにすぎないことが分かりました。
 もともと「処理」とは「さばいて始末すること」であって、「処置」すなわち「取り計らってかたをつけること」ではないわけですから、極端にいえば被害の救済を受けようと訪れた消費者に対して、その救済の申し入れ先を教えただけでも「処理」したと解釈できます。現に数多くの機関の中で、調停、仲裁裁定までの機能を発揮しているところは少なく、それも業界よりで消費者にとって必ずしも有利とはいえない場合があります。
 このような状態のままで各機関間の連携・調整をはかっても、しっかりした法の整備をしない限り大きな改善が得られないことは明らかで、何かこの協議会の存在は、金融庁の外向きのパフォーマンスに見えてきます。むしろこの問題の主役は、司法制度改革審議会でこれから始まる「ADR(裁判外紛争解決手段)の拡充・活性化のための基盤整備」にあるのではないかという感じがしました。
 以上のことから、銀行の不当な過剰融資による被害の救済のためには、私たち「銀行の貸し手責任を問う会」が以前から提唱し続けてきた、もっと高いレベルの「公正中立で執行権限を持った権威ある仲裁機関」の早期実現が、喫緊の課題であるように思います。




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