中小企業等金融債務者保護推進議員連盟(金融債務者保護議連)第2回総会 <2012.03.27>


第2回総会 衆議院第一議員会館
 中小企業等金融債務者保護推進議員連盟(金融債務者保護議連)の第2回総会が2012年3月27日、衆議院第一議員会館にて開催されました。
 今回のメイン出席者は議連メンバー、金融庁、預金保険機構、そして整理回収機構(RCC)の橋本取締役専務その他でした。会議室には貸し手責任の会のメンバーを中心に傍聴者が多数にのぼり、30人近い立ち見の方が発生し、RCC問題の根の深さが垣間見られました。 この会議では、議連事務局が事前に金融庁やRCCに対して送った質問事項に対する回答を聴取し、それに議員が質問するスタイルで進行しました。
 最初に、今西憲之記者(写真左から2人目)によるRCCの設立目的等の説明があり、また初代社長中坊公平氏が不適切な債権回収をしたことなどから捜査を受け、結果犯罪事実を認め弁護士を引退したこと、あるいは2代目社長鬼追明夫氏がRCC債務者の顧問弁護士であったことで弁護士会から懲戒処分を受けたことなど、RCCが問題の多い経営責任者によって経営されてきた事実などを簡易にブリーフィングされました。いかにRCCが設立時の理念とかけ離れた実態をもつ組織となっているか、よく分かるものでした。
 次に、先年改正された預金保険法中の「反社等債権」の意味とは何か、という議連事務局からの質問に対し金融庁から回答がなされ、やはり強い行政執行力をRCCに与えるこの規定が暴力団のみならず、一般債務者にも適用可能となる非常に危ういものであることが判明しました。暴力団対策としては、民事執行法、暴対法、暴力団排除条例、強制執行妨害罪その他さまざまな関連法規があるにもかかわらず、RCCの権限が不当に拡張されたといえます。いずれにせよ、暴力団対策として作られた債権回収の法規が、一般の債務者にも適応されるという不合理かつ危険なものといえるでしょう。
 そして最大の論点であるRCCの業務について、橋本専務が答弁しました。まず議連事務局側質問の全体の2割以上に対して、RCCは「回答は差し控えたい」とし、問題が大きくなりそうな質問には答えないという不誠実な態度でした。これは論外としても、RCCの運営費用として、弁護士支払報酬は開示されているが、税理士、会計士、コンサルタントなどの報酬は基準がなく、そのため支払額も不明とし、半官半民の組織でありながら外部からは運営費のチェック機能が果たせないことが判明しました。
 また特に、RCC側の存在意義について正統性の怪しさが露わになったのが、RCCによる事業再生業務についての橋本専務の説明でした。専務は、債務者との間の返済条件の変更も「事業再生」として認識していると回答したのです。「事業が継続していれば、再生と捉えられ」、この実績は1万件以上あると。これはRCCが「事業再生」とは何かを全く理解していないことを示唆しており、またRCCの存在意義がこのような論理的な無理をしなければ主張できなくなっている事態を象徴していました。
 今回の議連総会は国会本会議が急遽入ってしまったこともあり、予定時間が短縮され、想定していたほどのやりとりはできない部分もありましたが、RCCという組織がいかにその存在意義を失っているか、国民の税金を投入してまで存続させる価値のないものであることを十分に暴露したものでした。(M・G記)