整理回収機構の債権回収、手段を選ばぬ
 強欲な取立が横行 政府側も認識

・河村衆院議員提出の質問主意書に対する政府答弁書で判明
・連帯保証人に対してまで、給与差し押さえから破産申立まで強行

 整理回収機構(RCC)の目に余る強欲な債権回収が横行している中で、河村たかし衆議院議員は平成18年12月7日、整理回収機構の債権回収業務に関する質問主意書(別ページに詳細紹介←クリックを衆院議長を経由して、内閣に提出した。質問主意書は、国会法第74条の規定に基づき、国会議員が内閣に対し質問する際の文書である。その河村質問に対する内閣総理大臣・安部晋三名の内閣答弁書(別ページ詳細紹介←クリックが8日後の平成18年12月15日に河村議員に送付された。
 河村議員の質問主意書に対する内閣総理大臣の答弁書で、明確になったのは、整理回収機構(RCC)がその債権回収のためには、手段を選ばぬ強欲な取立を行っている実態が政府回答書からも鮮明に浮かび上がったことにある。
 整理回収機構は、平成14年4月から平成18年3月までの4年間に4743億円の債権回収をしているが、このうち担保物件の処分による回収は、2537億円である。
 担保物件の処分による回収は、全体の約53パーセントしかない。それに対し、主債務者や連帯保証人の一般財産から回収をはかっているのは、47パーセントにのぼる。異常な高率である。
 銀行ですら、債務者らからの一般財産から債権の回収をはかることは難しいため、無担保債権は、備忘価格で金融サービサーなどに売却しているのである。
 債務者の一般財産を捕捉することが難しい上、強制的に回収するためには、裁判を起こさなければならないからである。整理回収機構が、一般財産からこれだけの高率の回収をはかっていることは、債務者や連帯保証人に対し、いかに恫喝的な手法を使っているかを窺わせる。
売り掛け債権の差押えをすれば、企業はつぶれてしまうことから、銀行ですら、躊躇している売り掛け債権の差押えも、平成14年4月から平成18年3月までの4年間に、5件行っている。債務者への破産申立についても、平成14年4月から平成18年3月までの4年間に76件も行っている。大手5行が債務者に破産申立をするのは、年間10件にも満たないのに、驚くべき高率である。破産管財人に債務者の財産を徹底的に調査させて、身ぐるみはぐやりかたをするというのは、整理回収機構の常套手段になっていることを物語っている。
整理回収機構の代理人弁護士は、先日、私に、「整理回収機構は、債務者らには余剰の資産は残さないのが、整理回収機構の回収の基本だ」と言い放ったが、この点についての質問に対する答弁では、整理回収機構の回収指針は、「契約の拘束性の追求」「人間の尊厳の確保」「企業再生の追及」という3つの指針の交点を求める」と判で捺したような答弁を繰り返している。
 しかし、債務者に対する破産申立件数の多さから見ても、「債務者らには余剰の資産は残さない」というのは、まぎれもなく整理回収機構の本音であることがわかる。
とりわけ、連帯保証人に対しても、情け容赦ない取立を行っている。
いうまでもなく、連帯保証人は、借りたお金を使ったわけでもない。連帯保証人の財産には、もともと融資金は入っておらず、連帯保証人の固有の財産である。それにもかかわらず、整理回収機構は、平成14年4月から平成16年3月までの2年間に連帯保証人の給与の(仮)差押を行ったのは、37件、破産申立についても、平成14年4月から平成18年3月までの4年間に8件も行っている。
 整理回収機構に、このような強欲な取立を許してはならない。少なくとも、連帯保証人に対する回収については、給与の差押えや破産申立などはできないよう規制すべきであると考える。
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