■山梨日日新聞2004/03/31付
 金融機関トラブルに支援窓口 県内有志が組織立ち上げ(←クリック)
    訴訟サポート、勉強会も


2004年3月31日付山梨日日新聞

 「知らないうちに他人に自分名義の融資を申し込まれ、身に覚えのない返済を迫れた」などとして顧客が金融機関を提訴するなど、金融機関をめぐるトラブルや訴訟が相次いでいることを受けて(2004年3月)30日までに、山梨県内の有志で「被害者を支援する会」が結成された。
 
 開会は税理士で県市民オンブズマン連絡会議代表委員の山本大志さんが会長を務め、市議や会社員ら約百人が参加。裁判への傍聴呼び掛けや著名集めを行い、原告側を支援していくほか、第三者による口座開設や預金引き出しなど金融機関をめぐるトラブルについての勉強会を開き、消費者側の関心や理解を高めていくという。

 県内では甲府市内に本店がある信用金庫をめぐって「窓口での本人確認がなく、知らないうちに他人に預金口座を開設されて、保険金を詐取された」「自分名義の融資を別の第三者が申し込み、身に覚えのない返済を求められた」などとして、山梨市内の自営業者らが債務不存在確認や損害賠償を求めた訴訟が甲府地裁で係
争中。
 このほか同信金に関しては今月、「第三者(親類)に自分名義の融資を申し込まれ身に覚えのない返済を迫られた」として南アルプス市の会社員男性が約一千八百万円の債務不存在を求めていた訴訟の判決があり、同地裁は「融資担当者が本人の意思確認をしないままに手続きを進めた」などと認定、男性側の勝訴を言い渡した。同信金側は判決を不服として控訴している。
 支援する会の山本会長は「形式的な書面だけを整えたずさんな融資の実態がこれまでの裁判からもうかがえる。消費者が関心を高め、金融機関に対して主張していく姿勢が大切」と指摘している。
 同信金側は「融資は適正に行われていて、本人確認も当時の法令に従って不備なく行っている。原告側の訴えには疑義がある。『支援する会』などの設立は遺憾だ」と話している。
 
 金融庁の監督状況 衆院財務委員会で質問
   
日本共産党・佐々木憲昭議員
 
 日本共産党の佐々木憲昭衆院議員は(三月)三十日、衆院財務金融委員会で、甲府市内に本店がある信用金庫で顧客との訴訟などトラブルが相次いでいる問題で、融資手続きや窓□での本人確認などについて金融庁の監督状況などを質問した。
 竹中平蔵経財相は「金融機関はコンプライアンス(法令順守)の固まり。疑いのある事案があれば報告を求め、対応じていく」と述べ、金融庁監督局の五味広文局長は「本人確認のない口座開設は、(問題当時も)通達違反。同信金からは事情を聴いている」などと答えた。

 消費者に耳傾けて

 「銀行の貸し手責任を問う会」事務局長を務める
     椎名麻紗枝弁護士の話


 金融機関と顧客とのトラブルは全国的に拡大していて、背景にはバブル期などに意思確認のないおざなりな融資が横行し、不況が深刻化した今、金融機関が回収に躍起になっている現状がある。「(借金に)身に覚えがない」と訴えても裁判では立証責任が「借り手」側に求められていて、金融機関側が圧倒的有利な立場にあるのも事実。金融機関は社会公共的な立場にあり、消費者の声に謙虚に耳を傾けてほしい。