★会員からの提言★銀行問題を改めて考えてみよう
   …トヨタ自動車をはじめとする産業界のリコール問題との比較…
     銀行の貸し手責任を問う会会員で三菱銀行被害者の K・Aさん(79才)

私は15年ほど大手銀行に勤務しておりました。銀行の中枢的な業務にも携わっておりましたので、銀行の内部事情にも詳しいですし、もちろん、銀行との信頼関係も絶対のものでした。
 銀行退職後、大手不動産会社の役員を務めましたが、その会社と取引のあった三菱銀行からもちかけられた変額保険型融資が元で、銀行に対する信頼は見事に裏切られて、泣き寝入りをさせられました。

 そして、一時は人生を否定する心境にまで落ち込みました。
 現在、『銀行の貸し手責任を問う会』の会員でもあります。
 多くの人々が甚大な被害を受けながら、このままでは事件の真相は風化し、いずれ忘れ去られてしまいます。高齢ながら、少しでも社会に貢献できればとの思いであります。
 例えば、ユーザーが車を購入する際、もちろん商品の性能や安全性について、大手メーカーを信用するからハンコを押して購入する。それだけに、メーカー側には責任があります。
 以前、トヨタの場合、予知できない事故が発生し、商品の欠陥性が指摘された際、メーカーとして、直ちにリコールを宣言し、社会的責任を認めた。
 ユーザー側には、事故により死傷者の出たケースはあったが、自殺者が出たというニュースはない。
 ところが、銀行の場合はどうか・・・・・・・・・
 被害のレベルは自殺行為という人道レベルにまで達しているのだ。しかも、今もって改善の兆しもない。
 日本は世界の経済大国として、また、先進国として評価されてすでに久しいが、国内における産業界と銀行界との対応の違いは、余りにも甚だしい。勿論、欧米先進国と比べての後進性は否定すべくもない。
 椎名麻紗枝先生の名著『百万人を破滅させた大銀行の犯罪』には、次の一説が光輝を放つ。
 「私はなにも、借り手の責任は全くないと言うつもりはない。ゼロの人もいれば、一割、三割、あるいは、中には五割を越える人もいるだろう。それぞれのケースで違うだろうが、しかし、借り手の責任とういのは、あくまで、貸し手の責任も問われた上で論議されるべきだと考える。少なくとも貸し手の責任がゼロという現状は改めなければならない」

《《 今後の運動方針についての提言 》》
 

亀井金融大臣(当時)へ申し入れする銀行の貸し手責任を問う会事務局長の椎名麻紗枝弁護士
現在、椎名弁護士を中心として会が提言する『金融紛争処理解決機構の設置』などの四つの立法化を実現する為に国会議員の先生方に要請活動を行っているが、この要請活動は、われわれの運動の核ともいうべき実現目標である。

@ 金融紛争処理解決機構の設置 
A金融機関の情報開示を義務づけるなど、金融機関と債務者との間には、大きな情報格差があるとの認識にたった金融市場サービス法の制定
B 整理回収機構、金融サービサーなどの債権回収についての規制
C 債権法(民法)の改正では、債務者の権利保障を明記すること
 . 連帯保証についての規制
 . 債権譲渡の規制

 当会が発足したのが、1996年。その後、多くの陳情活動が重ねられて今日に至っているのであるが、もう一度戦術面での再検討をしては如何かと思い、私見ながら提言してみたい。

【1】、会員による草の根的要請活動

現在、都内近郊の会員による要請内容ごとのグループ編成により、国会議員要請活動が始まっているが、あわせて、日本全国にいる会員による地元議員へのアプローチはできないものだろうか。要請活動を行っていることを知らない国会議員の理解を求める。

【2】、金融庁への行政指導を求める運動

 

官僚組織の問題が取りざたされる昨今であるが、官庁の存在を軽視するべきではない。政局の不安定、政治への不信感のみられる中で、日本の官僚の行政指導は他国に見られない安定的な権威を備えている。
特に銀行界では、伝統的に官庁の行政指導は格段の力が発揮される。

 〔金融庁の相談・異議申立窓口に訴える

@「大臣目安箱」・・・金融庁2Fロビーに設置
  FAX  03−3506−6699
 提言は大臣に届けられると共に、庁内の関係部局に回付される。
※ 但し、国政についての意見のみで、個人的な訴えについては受付けて
いない
A検査情報受付窓口
  銀行の検査において消費者情報が何よりも重要との観点から、情報
  提供を積極的に受付ける。
  FAX  03−3506−6764

【3】、銀行協会への働きかけ

 銀行界の親睦団体としての成り立ちから、業界の自主的浄化力には限界があるが、決して軽視すべきではない。
協会の窓口→銀行の上層部→それぞれの担当部署に下達される。苦情問題はとにかく担当部署止まりで処理されがち。サラリーマンの保身行為は大組織であればあるほど働きやすいので、下意上達が不徹底となるが、協会ルートによって上下の意思疎通がオープンとなり、窓口担当者にとっても善処し易くなる。

【4】、NHKなどテレビ番組への働きかけ

 例えばNHKの『クローズ・アップ現代』『プロジェクト・ジャパン』などに、「銀行の被害者の実態」を会員各自が簡潔にまとめて表現し、担当窓口に郵送またはFAXする。
かつてマスコミで取り上げたこともあったが、政局の今日的な状況を踏まえ、再び取り上げるタイミングが到来したのではないかと思われる。

【5】、インターネットの再活性化に努める

 今後のメディアの主流になることは間違いないので、会の活動を知らない会員や一般の方々の理解を求める為に、ネットの活用を伝えてゆく。 ただ、高齢の会員も多いので、利用方法を易しく解説して、少しでも普及に努めていきたい。普及の進展につれて活動のネット・ワークが、飛躍的に強化されることは間違いない。
また、銀行サイドでは、ネットの影響力は極めて敏感であるので、銀行への圧力としての威力はかなり発揮されるはずである。 以上