衆議院議員河村たかし君提出 整理回収機構の債権回収業務に関する質問に対する答弁書

平成十八年十二月十五日受領:答弁
第二一二号
                         内閣総理大臣 安倍晋三

   衆議院議長 河野洋平 殿

 衆議院議員河村たかし君提出整理回収機構の債権回収業務に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

一について

 株式会社整理回収機構(以下「RCC」という。)が金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成十年法律第百三十二号。以下「金融再生法」という。)第五十三条に基づき平成十一年四月から平成十八年三月までの七年間に金融機関等から買い取った債権の元本の総額は四兆四百六十億円、その買取価格は三千五百五十七億円であり、この期間に回収した金額は五千三百四億円であると承知している。
 また、RCCが担保物件の処分による回収額を把握している平成十四年四月から、平成十八年三月までの四年間の回収額四千七百四十三億円のうち、担保物件の処分によるものは二千五百三十七億円であると承知しているが、RCCにおいては、その他のお尋ねの回収額については把握していないと承知している。

二について

 RCCが確認している範囲では、平成十四年四月から平成十六年三月までの二年間に売掛債権の差押えを行った件数は五件であり、回収した金額は約二千五百万円であると承知している。

三について


 RCCが確認している範囲では、平成十四年四月から平成十八年三月までの四年間に債権者として破産手続開始の申立てを行った件数は七十六件であり、このうち連帯保証人に対して破産手続開始の申立てを行った件数は八件であると承知しているが、RCCにおいては、破産申立てにより回収した金額は把握していないと承知している。

四について

 RCCが債権を買い取る際の価格の算定については、連帯保証人の資力についても考慮されていると承知している。RCCは、主債務者及び連帯保証人の実情等の十分な把握に努めているところであり、連帯保証人については、連帯保証をするに至った経緯等を十分に聴取する等の対応に努めていると承知している。

五について

 RCCが確認している範囲では、連帯保証人に対し、お尋ねの「連帯保証人に対する支払いを求める訴訟」、「連帯保証人の給与(仮)差し押さえ」、「連帯保証人の不動産の(仮)差し押さえ」、「連帯保証人の預金(仮)差し押さえ」及び「連帯保証人の動産の(仮)差し押さえ」について行った事例はあると承知しており、また、平成十四年四月から平成十六年三月までの二年間に連帯保証人の給与の差押えを行った件数は三十七件、回収した金額は約三千七百万円であると承知しているが、RCCにおいては、その他のお尋ねの件数及び回収した金額については把握していないと承知している。

六から八について

 預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)、特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法(平成八年法律第九十三号)及び金融再生法においては、預金保険機構は、債務者の財産が隠ぺいされているおそれがある債権その他その債務者の財産の実態を解明することが特に必要であると認められる債権について財産調査を行うことができることとされており、これらの法律の規定に従って財産調査を行っていると承知している。
 また、預金保険機構が確認している範囲では、平成十三年四月から平成十八年三月までの五年間に財産調査を行った件数は九百九十五件であり、このうち立入調査を行った件数は百五十一件であると承知しているが、預金保険機構においては、債務者と連帯保証人のそれぞれに対する実施件数は把握していないと承知している。

九について

 RCCは、国民負担の最小化の観点から、金融機関等から買い取った貸付債権等の適切な整理又は回収に努めてきたと承知している。

十について

 御指摘の「整理回収機構は、債務者らには余剰の資産は残さないのが整理回収機構の回収の基本方針だと言っている」との事実は承知していない。
 なお、RCCは、回収指針として「「契約の拘束性の追求」、「人間の尊厳の確保」、「企業再生の追求」という三つの指針の交点を求める」と定めていると承知している。

十一及び十二について

 RCCにおいては、債権の買取価格は業務遂行上の重要な情報であり、これを開示することは債権を譲渡した金融機関及びRCCの正当な利益を害するおそれがあるため、その開示をしていないと承知している。

十三について


 利息制限法(昭和二十九年法律第百号)は金銭を目的とする消費貸借における利息を制限するものであり、一般に、RCCが債権の買取価格を超える額を回収したとしても、同法上の問題が生じることはない。

十四について

 金融再生法第五十三条の規定に基づいて行われた金融機関等からの資産の買取りに関して預金保険機構に財産調査に係る権限が認められているのは、政府保証が付されている預金保険機構の借入れ及び預金保険機構債の発行により調達した資金を原資として買い取った債権の適切な回収を行い、国民負担の発生を回避するためであり、御指摘は当たらないと考えている。