整理回収機構の債権回収業務に関する質問主意書

平成十八年十二月七日提出:質問第二一二号
 提出者  河村たかし

 整理回収機構については、かねてから同機構の債権回収が、同機構の掲げる理念を逸脱して、債務者、連帯保証人の人権を脅かすような不当な回収を行っているとの批判をよく耳にする。そこで、整理回収機構の回収の実態について政府にお尋ねする。

 整理回収機構が、平成十八年三月末までに、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律五十三条に基づき、金融機関から買い取った債権の元本の総額は、三六兆三五六二億円、その買い取り価格は、九兆七二七一億円のところ、同月末までに八兆五六七九億円を回収しているというが、これらの回収のうち、担保物件の処分による回収額、債務者の一般財産からの回収額はそれぞれいくらか。
 また債務者の一般財産からの回収のうち、連帯保証人からの回収額はいくらか。
 過去五年間で、債務者の一般財産からの回収として、売り掛け債権などの差し押さえをして、回収しているのは、何社あるいは何件あるか。
 また、その回収した金額はいくらか。
 過去五年間に整理回収機構が債務者について破産申立をした件数はいくらか、また、連帯保証人についての破産申立件数はいくらか。
 右破産申立により回収した金額はいくらか。
 債権買取価格の決定にあたり、連帯保証人の資力は考慮しないと聞いているが、債権回収にあたり、主債務者と連帯保証人とでは、区別をもうけているのか。
 区別をもうけているとすれば、どのような区別をしているのか。
 連帯保証人に対する回収の方法としては、以下のような方法をとったことがあるか。とったことがあるとすれば、その件数と回収した金額を明らかにされたい。
 @ 連帯保証人に対する支払いを求める訴訟
 A 連帯保証人の給与(仮)差し押さえ
 B 連帯保証人の不動産の(仮)差し押さえ
 C 連帯保証人の預金(仮)差し押さえ
 D 連帯保証人の動産の(仮)差し押さえ
 整理回収機構は、悪質大口債務者には、預金保険機構と連携して財産調査権・立入調査権を活用して、有効な回収を行っているというが、悪質大口債務者とは、どういう基準で判断しているのか。
 債務者に対して、財産調査権を行使したのは過去五年間で何件あるか、同じく立入調査権の行使はどうか。
 連帯保証人に対して、財産調査権を行使したのは過去五年間で何件あるか、同じく立入調査権の行使はどうか。
 それらの連帯保証人が調査対象とされたのは、悪質だと判断したからか。悪質だと判断した根拠はなにか。
 整理回収機構は、平成十八年三月末までに、簿価を一兆八九一七億円超過する回収をしているというが、この額は、公的な金融債権回収会社による投下資本の回収としては妥当なものと考えるか。
 整理回収機構は、債務者らには余剰の資産は残さないのが整理回収機構の回収の基本方針だと言っているが、整理回収機構の回収の理念には反しないのか。
十一 整理回収機構は、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律五十三条に基づき、金融機関から買い取った債権の価格について、債務者からの要請があれば開示してもよいのではないか。
 開示すると不都合なことがあるのか。
十二 整理回収機構は、債権の買取価格は、金融機関からの取引価格であり、全債務の弁済に努めている者も多いのだから、それらの債務者間の公平性の確保という観点からも、買取価格は開示しない方針であるというが、債務者からの求めに全て応じて開示すれば債務者間の不公平は生じないのではないか。
十三 整理回収機構が、債権回収をするのは、経済的意味としては、投下した資金の回収にほかならない。債権額面どおりの資金の移動があるわけではないのに、投下した資金の何倍回収しても、暴利行為にならないとしたら、利息制限法の脱法行為にならないか。
 (整理回収機構が、債権買取に投資した資金の回収には、債務者からの回収と第三者への債権売却のふたつがある。第三者への売却にあたっては、対象となる債権は、当然債権額で売買されることはない。これとパラレルに考えれば、債務者からの回収は、いわば投下資金を債務者に貸し付けこれの返済を求めるものと変わりない。つまり、投下資金の元本の返済と金利を得させれば、投下資金の回収としては十分で、これ以上の利益を得させる必要はない。)
十四 民間の金融サービサーには、債務者の財産調査権・立入調査権は認められていないのに、整理回収機構が、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律五十三条に基づいて買い取った債権についても、預金保険法に基づく財産調査権・立入調査権の行使を預金保険機構に行わせるのは、国策としている自由競争原理に反しないか。

 右質問する。