「デイリータイムズ」連載・糾弾レポート<第10弾>
伏魔殿 整理回収機構(RCC)の正体
「罪と罰」を問う

ジャーナリスト・今西憲之

勝手気ままな国策会社RCCによる傍若無人の横暴を問う

【2005年7月号】メインバンクの破綻で債権がRCCの管轄になると、厳しい取り立てに泣かされる。あの手この手と繰り広げられる債権回収の方途は、信じられない方法まで考えつかれている。一律1000円で金融機関から買っているという。そして国民無視の取り立てを行うというのだ。

 突然の「債権譲渡」に驚いた

「急に債権回収会社というところから、手紙が来たので、何がなんだかわからずにパニックになりましたよ」 というのは、大阪市内に住む男性のAさん(53)だ。
 それまで、Aさんは整理回収機構(以下RCC)に返済を続けてきた。それが、突然、RCCが債権回収会社に債権を売り飛ばしたためにそのような手紙が送られてきたのだ。

 国会でRCCの手法を厳しく追及している衆議院議員、中津川博郷氏によると、 「RCCもヤクザだとか言われるが、債権回収会社もそうかわりないという声を聞く」 と言い、RCCに苦情が多々、寄せられているという。
 前出Aさんは、大阪でアパレル関連の会社を長く経営していた。しかし、7、8年前にメインバンクの信用組合が破綻。Aさんは約1債円をその信用組合から借り入れていた。当初Aさんは心配で信用組合の支店長などに話をしたという。
 「Aさんの債権はトップランク。返済が滞ったことがないので、万が一のことがあってもRCC送りになったりはしませんよ」
 その話を関いて、Aさんは安心した。知人から「RCC送り」になった債権が厳しい取り立てが行われることを小耳にはさんでいたからだった。
 しかし、その口約束は間もなく反故にされる。Aさんの約1債円の債権は「RCC送り」となったのである。
 不満はあったが、仕方ない。Aさんは本業で稼ぎ、RCCの言われる通り返済を続けたという。Aさんの預金通帳には月30万円の返済が毎月きっちり入金されているのがよくわかる。
 その後、不景気で売り上げが芳しくない時も、20万円ほどに減額してもらったがそれでもきっちりと返済してきた。RCCには合計約3000万円を返済しているという。
 「そんな時に債権譲渡されたって手紙が届いたんですよ。私はRCCはいわゆる国民の国の会社だということで、義務だと思い会社の運転資金までもつぎ込み、返済してきた。それを、何の運絡もなしに『債権を売り飛ばした』でしょう。国策会社にしては、お行儀があまりにも悪いように思います」
 というAさん。債権が譲渡されていることも知らず、1ヵ月分は通常通り、RCCに返済していたのである。
 「どうなるんでしょうか」
 とAさんはRCCに尋ねてみた。
 しかし、「もううちの債権じゃない」
RCCの担当者はそう逃げるばかり。そこではじめて債権回収会社に聞いてみると、 「うちから、RCCさんと話をしてみて、こちらの返済に充当してもらえるように手続きをとります。ご心配かけました」
 と丁寧な応対だったという。
 「債権回収会社というのは、怖いイメージがあった。けど、RCCよりずっと話もわかるしまともな会社のようでした。よけいにRCCが許せなくなった」
 とAさんは言うのだ。

 返済話を変えるのはRCCの手口!?


 RCCでは3年ほど前から、債権回収会社いわゆるサービサーに債権譲渡するようになったという。なぜ、自分の手で回収をしないのだろうか。
 RCCの現役社員が匿名を条件に内情を打ち明ける。「なかなか回収がはかどらないとか、決算の期限があり回収額の表面上、計上しなきやいけないなどの時にサービサーを使う。元々、タダみたいな金額で債権は譲渡されているので、損をすることはないですから」
 本誌5月号でも既報の通り、無担保債権の場合は、一律1000円で金融機関から買い取っていることが明らかになっている。つまり、1000円以上で債権回収会社に売り飛ばすと、絶対に損はないという計算である。
 「こんなことが簡単に許されていいのかという気がします。国民の税金を投入している訳です、RCCには。税金に充当する分を回収すべきなのに、どの程度の努力をしているかわがらんが、サービサーに売り飛ばすというのかいかがなものか」
 と中津川氏は話す。
 法律上、RCCが債権回収会社に債権譲渡した時はRCCから債務者に連絡をする必要はない。しかし、いきなり債権譲渡を宣告された債務者は驚くのも無理はない。
 「RCCは国策会社。債務者に電話を一本入れて、説明するだけでしょう。税金が投入されている会社だから、説明責任を果たすべきではないか」(中津川氏) 前出のAさんは現在、債権回収会社と今後の返済について交渉をしている。
 何度かやりとりするうちに、意外とRCCよりずっと話がしやすいという。
 「RCCは何度も話がコロコロかわるんですよ。一度、300坪ほどの宅地がありそれを処分して返済すればiチャラにするという話があった。実際に売却しようと買い主まで探し決まった。すると、RCCからちょっと待ってと言われている間に買い主もあきらめてしまった。次に、別の買い主をまた見つけた。しかし、時間が経過していたので、不動産価格の下落で買値が下落。するとRCCは『それじゃダメ、折り会見ない』となり、話はパーですよ。私の努力は泡と消えました。向こうがトロトロと遅いから悪いのに、私の責任だと責める。それにつけ、サービサーのほうがよく話を理解してくれます」
 とAさん。
 「私も仕事をしていて上司の判断がよく変わり嫌になることがあるパ前出RCC現役社員) もしこの時、Aさんが不動産を売却できていれば借金地獄から開放されてい  突然の「債権譲渡」に驚いたた可能性もある。RCCの横暴に泣いている人は数多いのだ。