■国家賠償訴訟へのご支援のお願い

 銀行の貸し手責任を問う会代表世話人
  法政大学名誉教授  野 田 正 穂
 

 私たち銀行の貸し手責任を問う会は1996年1月の結成以来、バブル期以降の銀行
の提案融資など押しつけ融資行動がもたらした個人の金融被害の解明、銀行の
貸し手責任を明確化する立法措置と多くの被害者の救済などを掲げて、今日まで様
々な運動を展開してきました。問題を広く社会に訴えるノンフィクション劇場「騙
す」もそのような取り組みの一環であり、今回で4回を数えることになります。
 この間、私たちは相続税対策の名のもとに銀行と生命保険会社が提携して勧誘し
た融資一体型変額保険なるものが、保険商品としては大きな欠陥があること、そし
て変額保険の販売を認可し、大銀行・生保の違法な提携を黙認した旧大蔵省(現金
融庁)には重大な行政責任があることを明らかにしてきました。そして、一昨年4
月には東京高裁も、変額保険は「相続税対策としては商品の適格性を欠く」ことを
認める画期的な原告勝訴の判決を下したのです。
 しかし、個別の裁判では、大銀行・生保の不当性・違法性を立証する責任は原告
にあるとされ、その上、立証に不可欠な銀行の稟議書などは法廷に提出しなくても
よいとされています。そのため、個別の裁判では被害者はことさらに不利な立場に
立だされ、大銀行・生保の加害責任を追及することは著しく困難となっています。
また、旧大蔵省の行政責任を争点とすることも、これまた困難であるのが現状です。
 そこで、私たち銀行の貸し手責任を問う会の会員でもある変額保険被害者の会員
15名の皆さんは、この度、金融被害の真相の解明、とくに旧大蔵省の行政責任を
追及し、泣き寝入りを余儀なくされている多くの被害者の救済をはかるため、国家
賠償に踏み切りました。
 原告団となる皆さんは熟慮に熟慮を重ねながらも止むに止まれない気持ちから国
賠訴訟に立ち上がる決意をされたのです。訴訟には強力な弁護団が必要ですが、幸
い、椎名麻紗枝弁護士をはじめ多くの弁護士の皆さんが協力を表明されています。
もちろん、今後、国賠訴訟を進めていく過程では、さまざまな障害や困難も予想さ
れます。どうか、原告団ならびに弁護団の皆さんに絶大なご支援、激励をたまわり
ますよう心からお願いする次第です。
                         2004年3月19日