★なぜ私達は日本版「金融サービス・市場法」の実現を求めるのか?

 「銀行の貸し手責任を問う会」は、1996年に発足して以来、次の二つの目標を掲げて活動してきました。ひとつは、現在放置されている銀行等の金融被害者の救済のために、英国の「金融オンブズマン・サービス」制度を見習った「金融紛争処理解決機構」の設置です。
 もうひとつは、今後このような被害を多発させないために、金融取引においては、消費者と金融機関・金融業者間では、「情報、知識において著しい格差がある」という認識に立ち、消費者の自己決定権が十分に保障されるシステムの整備を図った、「金融消費者保護法(金融サービス・市場法)」の制定です。
 しかし、今回やっと、金融商品取引法(仮称)案が今国会に上程されることになりましたが、この法案は、対象とする取引を、証券取引はじめ、現行法で取引の規制が行われている取引に限定し、最も被害が多発し、最も法的規制の必要性が叫ばれている「銀行融資」並びに「保険」は除外するという大きな欠陥を有しています。しかも、この法案は、行為規制についても、消費者被害の温床である不招請勧誘禁止の規定を落としてしまっています。
 バブル期に多発した押付け提案融資の被害は、まさに銀行が借金の必要の無かった顧客のもとに押しかけ、融資を勧誘したために生じました。消費者被害を防止するうえで、この様に勧誘の要請をしていない顧客への勧誘を禁止するための「不招請勧誘禁止」は除外出来ないものです。「金融先物」については、既に現行法でも法的規制を行っておりますので、今回の法案がその規制を断念したことは、むしろ現行の水準より後退したものです。
 長年、銀行融資についての無法状態を解消させるため、銀行取引についての法的規制の必要性を訴え、「金融サービス法」の立法化を求めて活動してきました当会としては、法的規制がもっとも緊急に必要な銀行融資について、依然手をつけないこの法案は、何のための「金融商品取引法」か、と疑問を抱かざるを得ません。
 会としては、真に消費者保護に役立つ日本版「金融サービス・市場法」の実現を図るために、世論への訴えと合わせて、現在、法案作成にかかわられる国会議員の先生方に深いご理解をいただきたいと考え、このパンフレットを作成したものです。