「デイリータイムズ」連載・糾弾レポート<第24弾>
伏魔殿 整理回収機構(RCC)の正体
「罪と罰」を問う

ジャーナリスト・今西憲之
     “国策”という権力をかさに 
    押し切るRCCの強引な訴訟展
【2006年9月号】
 京都市の不動産会社の元社長、大山進氏は旧住専の巨額債務者。現在もRCCと係争中。RCCが大山氏に提起した民事訴訟や仮処分申請でまったく関係ない刑事記録や逮捕歴などを記載。逮捕歴は、最終的に不起訴になっているものまで主張するという「横暴」ぶりだ。

宅地造成が進む現在の一条山

解散命令申立書にある
RCCの主張は本当か?
 「これと同じものを、何有荘(かいうそう)にも設置。もっと、立派にやっていたんですよ。ここでは場所がないからこの程度ですが」 と京都市の北にある邸宅で、大山進氏はうらめしそうに話す。
 そこには、右の写真にもある通り、宗教施設の一部が設置されている。これと同じものが、大山氏が所有していた、南禅寺に隣接する、明治時代の由緒ある邸宅「何有荘」にもあったという。

大山氏の自宅に設置されている宗教施設
 現在は、整理回収機構(以下RCC)は、大山氏から未回収の債権、約380債円の返済を求めて係争中。何有荘にRCCは抵当権を有し、今年になって京都地裁で競売にかけられたが、まだ落札されていない。
 RCCは大山氏からの資金を回収するために、何有荘の売却をもくろんでいた。
そこで現在は大山氏がかつて役員を務めていた、大日山法華経寺へ所有権は移転している。
 そこで、RCCは昨年6月に京都地裁へ、売却のための「保全処分命令申立書」という訴えを起こした。その結果、京都地裁はRCCの主張を認め、昨年7月に保全処分を決定。それまで、大山氏らが占有していたが、退去を求められ、設置していた家財道具や宗教施設なども撤去された。
 そして、RCCは次の一手とばかりに「宗教法人解散命令申立書」を京都地裁に提起してきた。その中に<相手方の解散事由>という項目がある。とりわけ、解散の理由の中心に位置づけられているのが<宗教団体の実態の不存在>というものだ。その具体的な内容がいくつかあげられている。
1.保全処分の執行時に施設内にいたのが中国人留学生1名
2.代表役員の吉田幸雄の住所が大阪府堺市になっており、宗数的活動に従事しているとは到底考えられない
3.宗教法人の事務所に設置が必要な、規則及び認証書、役員名簿、財産目録や収支計算書などが存在しない
4.安置されている位牌、遺骨はない
5.礼拝施設を設けたことがない
 だが、RCCの主張は本当なのか。
 1.について検証すると、たまたまその時は他の人が外出しており、中国人留学生だけしかいなかったということが考えられる。 4.については、位牌や遺骨の安置が宗教法人になくても、宗教活動ができない規定はどこにも見当たらない。
 「代表役員の吉田については、堺市から通っていましたよ。住まないといけないという規則はないはず。規則や認証書などの書類はありませんよ。昨年2月に私が逮捕された時に警察の家宅捜索で押収されているんですから。そんなもの、RCCの指摘など関係なく、国家権力が必要にかられて持っていってるんです。宗教施設も、京都地裁が保全処分の決定を起こした時に撤去されてしまったのでありませんよ。それをあたかも、宗教法人側の怠慢で設置されていないなんて、よく言いますよね」
 と大山氏は怒りを隠せない。
 大山氏の自宅には、京都地裁が保全処分で運び出した宗教施設や教義などが現在は設置されているのだ。RCCの主張のように、存在がないものではない。たまたま、RCCが存在を確認できなかっただけ。それを「存在しない」と決めつけるばかりのRCC。相変わらすの「傲慢」さである。

      「正義はどこにあるのか」と
      悲痛な声で訴える大山氏


 また、大山氏の逮捕歴や悪印象を与えるような記述も、前号の時と同様に書かれている。だが、今回の宗教法人解散命令とは、宗教法人を相手取ったもの。大山氏は現在は役員を退任している。法的な関係は有していないという。
 にもかかわらず、RCCは関係ない人間の名誉が傷つけられることなどどうでもいいとばかりに、攻撃してくるのだ。ここまでくれば「悪口」で個人を攻撃することで活路を見いだそうとでもしているのか。
 さらに、宗教法人法を読むと、第81条に<解散命令〉が記されている。そこには、礼拝施設の有無なども見られるが、実際には存在していた。となれば、理由は<法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められた行為>
 というのが理由に定められている。
 大山氏の行為が、著しく公共の福祉に反するものなのだろうか。
 「いや、本当に宗教活動をしていない、法に定められたことが守れていなければ、そりゃ解散させられてもいい。しかし、国策会社であるべきRCCが借金回収したさに、こんなことまでして許されるんですか」
 と大山氏は無念そうな表情で訴える。
 だが、京都地裁は今年2月に解散を認めてしまったのだ。
 前号でも指摘したように、大山氏の逮捕歴は事実だが、不起訴になっている。それと同じような記述があり、かつ明らかに事実でないことを主張していたにもかかわらず、京都地裁はRCCの訴えを認めてしまったのである。
 大山氏の代理人の弁護士は言う。
 「RCCは国策会社ゆえの優位性をかさにきて、強引な主張を展開し、それが虚偽、実態に則していなくても、我々は正義だといわんばかりに押し通す。そして、情けないかな裁判所もRCCの言うことならと、どう考えても説明かつかないことであっても、あっさりと認めてしまう。そして、RCCはなかば他の債権者など関係ないとばかりに、強引な回収をしてゆくのです。いったい、司法とその正義ってどこにあるんでしょうか」
 昨年には、刑事事件でも逮捕されてしまった大山氏。その影響もあるのか、現在では精神的な病にも冒されている。
 「嘘が簡単に通ってしまうんですから、そりゃ、精神もおかしくなりますよ」
 と苦痛に表情を歪めていた。

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