集会には連帯保証、過剰融資、押し付け提案融資など銀行被害者、消費者研究家、ジャーナリスト、弁護士ら約80人が参加。銀行の不当競売を許さない被害者の会・奥田英雄会長の挨拶で開会し、熱心な討論の場となりました。
シンポジウムの前に連帯保証被害者の体験発表。
富士銀行(現・みずほ)被害者の武内眞弓さん(←クリック)、
ペアライフ・第一勧銀・三菱銀行・被害者の会代表の老沼恵美子さん(←クリック)、
青森銀行被害者の広田香さん(←クリック)ら4人が怒りを込め、銀行から受けた取り立てのひどい実態を生々しく語りました。
シンポは銀行の貸し手責任を問う会事務局長・椎名麻紗枝弁護士の司会で進められました。
パネリストは甲斐道太郎・大阪市立大学名誉教授(銀行の貸し手責任を問う会関西代表)、田口良一・金融実務家、
中津川博郷衆院議員(連帯保証撤廃議員連盟メンバー)の3人です。
シンポの詳細は後日紹介します。
◆法務省の中間試案批判◆
シンポでのパネリストの解説・意見、出席者との熱心な質疑応答・討論の中で法務省公表の「保証制度の見直しに関する要項中間試案」にきわめて不備な問題点のあることが浮き彫りになりました。
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戦後最大の中小企業倒産が続いている中で、企業が倒産しても経営者らの連帯保証責任が残ってしまうため、すべての資産を失って自殺に追い込まれている経営者も少なくありません。一方個人債務者に対する連帯保証も、バブル期に金融機関が過剰融資を推進した結果、限度額期限なしの包括保証が横行し、それによる被害も深刻化し、家族崩壊の悲劇を生んでいます。 |
銀行の貸し手責任を問う会は、これまで連帯保証制度について法改正を求めてきましたが、法務省も本年3月から保証制度の見直しを検討し、5月に保証制度の見直しに関する要綱中間試案を発表し、今秋にはこれをもとにした改正案を国会に提案する準備をしております。
しかし、法務省の中間試案は、きわめて不備な内容です。連帯保証を抜本的に改正するのであれば、本来であれば、連帯保証の基本を定めている民法を改正して行わなければならない筈ですが、法務省は、限度額なし期限なしの包括保証を禁止することでお茶を濁すつもりで、民法に手をつけるつもりはないようです。それをみても、法務省の考えている法改正がきわめて不十分なものかは明らかです。
当会は、連帯保証の制度の改善には、包括保証の禁止はもちろんですが、それだけではなく、民訴法228条4項の廃止も同時に行わないと連帯保証問題の解決にはならないことを訴えてきました。
それに対し、法務省は、金融機関が連帯保証人に説明義務を尽くしていないとき、あるいは連帯保証人の能力を超える過酷な負担を求めるときには、裁判に訴えれば、裁判所も、連帯保証人の責任を軽減して救済しているので、連帯保証の問題は、判例では解決済みであるという説明に終始しています。法務省の担当者の多くは、裁判官だった人たちです。ですから、連帯保証に関する判例を知らないとは考えられません。それなのに、どうして、そういう欺瞞的な説明をするのかわかりません。恐らくは、連帯保証の改正が、民訴法228条4項の廃止につながることを恐れているのでしょうか。
幸い、6月に超党派の国会議員による連帯保証撤廃議員連盟が結成され、連帯保証をめぐる裁判の実態に関する予備的調査が開始されました。
これは、連帯保証に関する裁判の現状を正しく認識した上で、連帯保証制度の改革を考えようというものです。
この予備的調査の結果、不条理な連帯保証契約のばあい、裁判に訴えれば連帯保証人は救済されているという法務省の説明が本当か、あるいは連帯保証契約に同意した事実もないのに、ハンコが押してあるという理由だけで、裁判で敗訴し、過大な連帯保証の責任が押しつけられたという多くの被害者の訴えが本当かが明らかになる筈です。
7月17日の「連帯保証問題」シンポジウムを開催しましたのも、パネリストの先生方や被害者の方々からのご意見をもとに、8月中に連帯保証の改正についての当会の意見をまとめ、各国会議員にこれを要請したいと考えたからです。
いずれ、当会のホームページでも公開したいと考えています。